読んだことのある作家は、有川浩と角田光代と桜庭一樹。前者二人はだいたい思ったとおりのレベルでしたが、桜庭一樹がちょっと好みに合わない話でした。なんかちぐはぐした感じを受けたんですよね。女性が読むとまた違うのかもしません。
そんな中、個人的に気に入ったのは角田光代の「あの八月の、」と有川浩「クジラの彼」(秀逸!)、 日向蓬「涙の匂い」 の三篇かな。ざっと感想を書いてみる。
角田光代「あの八月の、」
かつて自分たちが所属していた「キネマ友の会」は昔のままだった。深夜の大学に忍び込んだふたりは、自分たちで作成した映画を上映した。そこには馬鹿馬鹿しいほど入り組んでいた人間関係があって……
あのころ夢中になっていたことが、振り返ってみたら何て恥ずかしいんだろうという感覚をストレートに伝えてくれる。短いながら洗練された青春物語という感じ。
やり直したいと思うか、そっと封印するか。自分だったらどっちを選ぶだろう。
有川浩「クジラの彼」
数あわせで参加した合コンで彼に会った。顔は良くともどこか冷たい感じを受けていたが、話をしているうちに打ち解けて付き合うことになった。でも潜水艦乗りだった。次の連絡は数週間後か、数ヵ月後か……
「海の底」で出てきた冬原の彼女側の視点から描いた物語。
何かあっても喜び合えない。辛いことがあっても悲しみ合えない。相手は海の底だから。それでも離れたくない。このあたりの辛さとかが痛いほど伝わってきます。あーでも何かいいね、冬原は。彼女の聡子もかっこいいし。ほんとお似合いだ。
日向蓬「涙の匂い」
親の都合で田舎町に引越した少女が出会ったほんの少しの恋心を描いた物語。なんかこういい感じなんですよね。それが文章なのか雰囲気なのか難しいところですが、幼い淡い恋の話でこんなに引きつけられたのは始めてかもしれない。
7人の著者が描く「あのころ」と表現したくなる時期を描いた青春物語。
角田光代「あの八月の、」
有川浩「クジラの彼」
日向蓬「涙の匂い」
三羽省吾「ニート・ニート・ニート」
坂木司「ホテルジューシー」
桜庭一樹「辻斬りのように」
森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」
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