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バカが全裸でやってくる / 入間人間

「お前まさか、自分が小説家になれないなんて思ってないよな?」

「きみは天才かもしれない」— お話しを作る小学校の授業で担任に言われた言葉を鵜呑みにした少年は、お話作りに夢中になり、やがて小説家を目指すようになった……天才じゃないことに気づき、苦悩しながらお話しを書き続ける人たちの物語。

これたぶん私小説ですよね。特に第一章「バカが全裸でやってくる」は。キャラを加えたり、全裸バカ出したりしてるけれど、小説を書くという思いや、応募し続けた心情などは、たぶん本人の言葉だと思う。

物語を紡ぐ面白さにハマり、でも自分の妄想を露出していること=全裸も同意で、痛い目で見られることもあり、時に作品をベッコベコにされて。それでも立ち止まることが出来ず、ライトノベルの新人賞に応募することを決意してから、書いて書いて、苦しくて、体が壊れそうになって、それでも書き続けて……辿り着いた最後の行のエンターを押したときの感動ったらなかった。

この他、一度売れたものの小説が書けなくなった男、死してなお小説を書く女、引きこもり中堅小説家、偉大な小説家の母を持つ男など、小説を書く人のお話が描かれているんですが、どの人も「小説バカ」といって良いぐらい、書く人なんですよ。時に家庭を、あるいは彼女を顧みないこともあり、別れが待ち受けていることもあるんですが、たぶんこういう人じゃないと小説を書き続けるって難しいんじゃないかしら。新人賞を受賞してデビューするのは、ゴールじゃないんですよね。そこがスタートなんですよね。

様々な辛さを抱えながら、書き続ける人たちの物語は、なぜか全裸になる人が多かったりするんだけれど、これがちゃんとしっくりきて、各章が意外な形でリンクして、じわりぐるりと見えてくるお話しに、ああくそやられたと思いました。やっぱこの人すごいよと思ってしまうのは、錯覚かしらどうかしら。

ちなみに、各章の間に、幕間よろしく新人賞の選考模様が描かれていて、何かの作品が避けられそうになりながら、なんとか通過していくんですが、「最終選考」の項目のタイトルが「わたしはここで落とされました」となっていることに思わずにやり。そうだよね、受賞したかったよね。うん。

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