「けれど甲子園は違うだろ。普通の高校生でも仲間と力を合わせればたどりつくことができるかもしれない。そんな夢の場所だとは思わないか?」
幼い頃から野球が好きで、バッテリーを組んでいた綾音と巧也が、部員数ギリギリの弱小野球部で、甲子園を目指すお話の第二弾。今回は、借金返済の為のバイト三昧の夏休みと秋季大会のお話です。
強豪高校との差は、そうやすやすと埋めることはできない。それでも、各自が自分の長所を生かして努力し、それが実を結ぶシーンは、グッとくるものがありました。前作ではあまり目立たなかった選手に焦点があたってましたが、セカンドにいるもう一人の女子・蘭に、最大のチャンスで打席が回ってきたときのドキドキと感動がすごかった。五番にはいった**の屈辱挽回バッティングも。
こういうのはやはり高校野球ならではだと思います。無名高だからこその怖さとか、トーナメント戦のプレッシャーなど、いろんなところに落とし穴があるんですよね。でもそれがドラマを生むから素敵です。選手の盛り上がりもいろんなところで見えて、トーナメント表を眺めては嘆いたり興奮したり、あるいは無残に終わった試合を思い出しては、汚名を返上すべく奮闘したり。
今回メインとなったのは、ベスト4を掛けた立秋館高校との試合でした。さすが強豪高という横綱っぷりを見せられたかと思えば、内心では苦しんでて、ああこんな駆け引きがあるのかと面白かった。綾音と巧也の信頼関係ににやりとして、プライドを捨てて投げる巧也が格好いいと思って……それだけにラストはきつかったなあ。ちょいとあっさりだったという意味もあるんだけれど、たぶん、この試合でエラーをした選手は、悔いが残るから。次なるチャンスがあればいいんだけど。
ただ、野球のシーンはいいんだけど、そこに至るまでの道のりはちょっと長かった気がする。夏休みのバイトまではいいんだけど(あの先生マジうざい)、痴話喧嘩が勃発すると……。じゃれあいならともかく、事細かに心の動きを見せられるのも良し悪しなんだな。蘭の揺れる思いも……と思ったけど、あんなことやられたら惚れるのは無理ないか。
もちろん、恋自体はいいことだと思うけど。まあ、なんだ、いろいろあるかもしれないけれど、みんなが楽しく野球をやれるのが一番だと思うので、そういった楽しさを見せてくれたら嬉しいです。
ひとりぼっちの王様とサイドスローのお姫様〈2〉 (メディアワークス文庫)
柏葉 空十郎
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