「……こんなことを言うと変に思われるかもしれませんけど」
瑠美は小さくはにかんで良平を見上げた。
「人を頼るってことを、私、ここで初めて教わった気がします」
バイト先のコンビニ店長が倒れ、業界大手である本部の冷たさを知った。大学卒業後は、コンビニ店長を志望していた良平は、熱意を失い、あてもなく地元へ戻ったが、そこへ憎きコンビニチェーン店が進出してきたことを知り、母の商店をコンビニにして対抗しようと決意したが……というお話。
おおこれは、なんと言うか、青臭くもいい青春ものな感じ。仕事に対して理想論で動くところは、良くも悪くも若さを感じて、夢を失ったことでグダグダしてるところはうざかったんですが、やっぱり夢を諦め切れなくて、自分の店を持ちたいと動いてからの展開は良かった。
初めは恨み辛みじゃないですが、元バイト先をつぶされたことや母の店を追いやられたことについて、業界大手に立ち向かおうとする思いがいくらか占めていたと思いますが、やると決めてからは、そんな思いを持つ余裕もなかったんじゃないかな。開店に至るまでの道のりは、どれだけ時間があっても足りなく、店を回すための人を雇うことの大変さも痛感させられます。田舎だからこその偏見等もあり、高校生ばかりのバイトたちになってしまいましたが、これがまた大変で……
弟のような存在だけどレジや陳列に不安のある真雄、しっかりしているが気負いすぎる瑠美、すべてを任せられるレベルだが、態度はちゃらい賢治、頭は悪くないが、自分と他人を区別できず、万引き(本人に罪の意識はない)してしまう純といった面子をオープニングスタッフとして揃えたから、不安ばかり。それぞれ長所と短所があり、研修を通して内面を知っていって、時に不満が爆発することもあるんだけれど、彼ら彼女らを支えて、また支えられて、乗り越えていくという展開が良かったです。ちょっとひどい、つーかひどすぎる出来事もあったけれど、原点に気づいて、立ち直っていく姿が良かった。
こういう人間関係が築けると、働くのが楽しくなると思います。まだまだ若さで押すところがあるけれど、きっと良い店になってくれると思わせてくれるものがありました。良かったです。
俺のコンビニ (メディアワークス文庫)
峰月 皓
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