「それでわかったのは、夢なんて探さなくていいんだな、ってこと。なくてもいい。やるべきことをやっていれば、その先に待っている。そう思えるようになった。夢のために努力するのもいいけど、努力したことが夢になるのもいいかな、ってね」
転校して数ヶ月、一人暮らしの下宿屋が火事になり、途方にくれていた高那聡は、理事長の計らいで山奥にある「清流寮」に入ることになったが、そこにいるのは、8人の超能力者だった。ちょこっとだけ物を動かしたり、リモコン代わりになれたりと、役に立たない力ばかりだけれど、そんな中、一般人の聡は、新生活を始めるが……というお話。
これはとても面白かった!
超能力云々とか出てきたら、怪しげなお話になるのかと思いきや、素敵な寮ものじゃないですか。男女が一緒に住んでいても、男側の立場が弱く、でも聡はおいしいご飯が作れるので、独自の立場を手に入れつつ、やっぱり先輩女子にはかなわない、みたいなやり取りがとてもいい。
とはいえ、いたって普通の寮生活と油断していると、超能力が暴走したりして、改めて力のあるなしを痛感させられたりするんだけど、怖いのはみんな同じなんですよね。聡は、自分にない力を持つ人たちが怖く、でも彼ら/彼女らだって、怖がられることが怖い。これまで力を見せたことによって阻害されたことがあるからこその恐れが見えてくるのはやるせないですが、能力者たちの思いを察することができる聡だから、みんながまとまれたんだと思います。聡もまた大きなトラウマを抱えていたことが、こういう形で生きてくるとは。
それとね、聡と、番長と呼ばれる小柄な美少女・津浦翼との関係もいいんです。つい視線を向けてしまうような気になる存在っていう描写とか、すっごいニヤニヤしてしまう。翼もまた気にかけてて、ふいに見せる可愛さがたまらなかった。あーもう!
このふたりのやり取りもいいけれど、寮生に管理者さんに理事長と、登場人物みんなが魅力的な、とても素敵なお話でした。
オススメです。
超能力者のいた夏 (メディアワークス文庫 て 1-1)
寺本 耕也
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