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初恋彗星 / 綾崎隼

星乃叶は今、遠い街でどうしているんだろう。
俺が経験しているみたいな葛藤を、星乃叶も感じることがあるのだろうか。
今でもまだ傷つきやすくて、ナイーブで、人見知りばかりなのだろうか。
話したいことは沢山ある。
会いたい。会って、一緒に笑いたい。

小学生の時、逢坂柚希は幼馴染の紗雪と共に、助けたクラスメイトの舞原星乃叶は、家庭の事情から、紗雪の家に居候することになった。やがて三人はいつも一緒にいるようになり、柚希と星乃叶は惹かれあう。だが、星乃叶が引っ越すことになり、星空の下、次の彗星も皆で見ようと約束を交わしたものの……切なく優しく、苦く温かい恋が描かれる物語です。

これはとてもよかった。僕は綾崎さんの描く優しさが好きだなあと、読み終わってから思う。

小学生の頃。まだ愛とかそういう感じはなくて、一緒にいる楽しさの延長上のようであり、どこかちょっぴり違うものがあり。微笑ましさににやつくばかりでしたが、引越しからの遠距離恋愛ではどうなるかなとドキドキ。

高校生ぐらいまでは、やはり距離というのは大きなものがあって、身近な人に心揺らすことがあって、ここで柚希に惹かれた少女・怜香が素敵な人だっただけに、いろいろ切なくなります。特に……あの、話を、知ってからは。

手紙でのやり取りは続き、でも会えない。思いがふくれあがらんばかりになり、ようやくといったときに、示された先は……。背筋がぞっとして、同時に思い当たり、悔しくなる。

幕間では、紗雪の視点によりこれまでの物語が語られていくんですが、彼女の思いがいろいろ伝わってきて、ああ、そうか、紗雪はみんなが大好きだったんだなあ。だから、彼女は……

好きな人のためにつく嘘の善し悪しは、僕にはわからない。でも僕は、この物語の登場人物がついた嘘は、自分のためと言うこともあるけれど、優しさだとも思ってる。願えばすべてかなうわけじゃない。でも決して希望を捨てちゃいけないよね。はたされた約束に、こみあげた僕がいました。

本当の意味で苦労したのは、きっとこのお話で描かれてないところだと思います。それでも、好きな人達と一緒にいられることは、きっとその苦労も幸せにしてくれたんじゃないかと、そう思いました。すれ違いがあったけれど、最後に温かいものを見せてくれて、満足です。

初恋彗星 (メディアワークス文庫 あ 3-2) - 綾崎 隼

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綾崎 隼

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Comment:1

由良 2010-07-30 (金) 16:30

泣きました(笑)。
いや、これは主人公の思いが分かってないと泣きませんね。私には恋人という人はいませんが、もし居たとして、しかも弟よりも何よりも愛している人がいるとしたなら。そしてこの主人公と同じ現実にあったとしたなら・・・。
もう考えたくないですよね。心が痛んでも、友人の行動に苛立っても、逢いたかった恋人が別人のようになっても、その恋人を支えようとする主人公の様子が泣けます。
四人の約束も果たされて自分が嬉しくなりました。

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