「君は、モニカを助けると嬉しいかい?」
「当たり前だ」
「モニカとまた会えたら、笑うかい?」
「人生最高の笑顔をみせてやる」
エルマーはその答えに満足したようで、ケラケラと笑いながら口を開く。
「最初から、それだけ言えばいいんだよ。俺が協力するには、それで十分だ」
不死の酒を巡って起きる不死者と人間が繰り広げる群像劇シリーズ。まだ普通の人間だった頃のヒューイとエルマーの少年時代を描いた「1705」の続編にあたるお話です。
何故、見つけてしまったんだ。本気でそう言いたくなりました。
描かれていたのは、世の中の全てに絶望し、他人に無関心だったヒューイの恋でした。両親を亡くした時のトラウマから、人を信じることが、いや、裏切られることが怖いが故に、たとえ仲間であっても、一歩引いたところがあったのに、自分に好意を向けるモニカが落ち込んでいくに連れて、気にかけて。一度は距離をおいた時もあったけれど、やはり手放せなかった。そんな思いが描かれていくところに、こちらまで胸がキュンとなって……たんだけど、もちろん、そのままお話が終わるわけがない。
思いが通じ合った直後に、モニカの境遇が一変して、そんな彼女をなんとしても取り戻そうとあがき続けるヒューイの姿が、痛くて熱くて。この無茶をやりきってしまうところが、彼の力の証明であり、愛する人への思いの強さですよね。
絶望の中に見えた光を掴みきったところが、ほんとうに素晴らしかった。
暗躍していた人に気づければ……でしたが。
正直、最後は読むのが辛かったです。
まさに「何故、見つけてしまったんだ」という思いになりました。わかっていても、へこみます。
次なる「1711」では、どんな出来事が待ち受けているのか……読むのが怖いけど楽しみです。
バッカーノ!1710―Crack Flag (電撃文庫 な 9-34)
成田 良悟
アスキー・メディアワークス(文庫)
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