「聞け。祭りの順序だの、決まりごとだの、そのようなものはこの際、理にあらず。この場合、みごとな能をつくり、みごと披露し、いかに神を喜ばせ、見物にも恩恵を施しうるか。そのことのみが真理であり、それ以外の理などありえぬ。任性、芸とは生き物ぞ。生き物を第一に考えずして、なんの祭りぞ。なんの奉納ぞ」
室町時代。兄の一座を離れて、将軍の前で舞いたいと野望を抱いた若き猿楽太夫・三郎を描いたお話です。どうやら能楽の大成者である観阿弥の若い頃の話らしいですが、そのあたりは全然知らないので、どのくらい史実に沿ってるのかはわかりません。
うーん、華がないなあ。
舞いの描写はいいところもあるんだけど……あまり惹かれないのは、僕が能楽とかちゃんと見たことがないからかもしれません。想像しきれないのが残念でならない。
そのあたりはいいとして、舞いに魅せられ、自分の舞を追い求めるという観阿弥の情熱はわかるんですが、あまりにも自分勝手で傲慢だから、どうにも好きになれない。
それでも、神を見物客を喜ばせることを考えて、一座を作ろうとするところから、権力へ擦り寄るものに脅され犯され裏切られ、這いつくばらされながらも、周囲の人に助けられて、舞台へ上がるところは良かったです。
観―KAN (メディアワークス文庫)
永田 ガラ
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