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ガーデン・ロスト / 紅玉いづき

「はじめて思った。ちゃんと、あたしのことちゃんと、好きになって欲しい」
そこまでいって、音が立つように首を落とした。ぜんまいの切れてしまった人形のようで、頼りない動きに、呟く言葉も心細かった。
「でも、―怖い」

漫画のキャラや俳優に惚れる可愛らしいマル、お人好しなエカ、麗人のオズ、病弱だけど厳しく大人びたシバという放送部に集う四人の女子高生が描く切なく苦しい失花園の物語。

これはとてもよかった。
現代の高校を舞台に、硬質で透き通るような雰囲気で描かれる花園は、甘く見えて、その裏に痛みを抱える姿があって、読んでいると胸が苦しくてたまらなくなるんです。でも目が離せない。

放送室に集う四人は、これ以上無いぐらいピタっとハマってるんだけど、それぞれコンプレックスを抱えているから、周囲からしたら些細なことでも、本人はとても痛く感じる出来事が、見えてくると……辛いですよね。

四人それぞれの視点から描かれることで、他人からの見え方と本人の内面の違いが浮き彫りになりますが、共通しているのは、いまのまま、変わらない時を過ごしたいと願う少女の等身大の願いだったりするから、やりきれなくなるんです。時が止まることはないから、不安は消えず、不意に起きる衝動と、ずるいと思いながらも友に寄り添う姿が、印象的でした。

四人の女の子の視点の中では、シバが一番印象的だったなあ。誰に対しても正しく、強く見えた彼女が見せた、身体の弱さと共に見せる心の弱さは……痛々しくてならなかったです。
プライドの高さと八つ当たりのような嘘が生み出した亀裂は、彼女自身止めようがなかったのかも知れないけれど、それもまた失うことの怖さからきていたんですよね。気づかぬ振りをして、でも終りが見えるにつれて後悔するしかなくて……

失うと言うことは、どうしたって怖いと思います。居心地がよければなおらさそう思うでしょう。
彼女たちはその場所に、もう帰ることができないけれど、でも、あの手の温かさを忘れなければ、痛みを乗り越えていけると、そう思いました。あのシーンは、ほんと涙が止まらなかったです。

このお話を読めて、良かった。

ガーデン・ロスト (メディアワークス文庫) - 紅玉 いづき

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