「白山さん、」
「お願いだから」
衡の言葉を遮って、白山さんは真摯に見つめながら、口を開く。
「情けないなんて、なにもできないなんて、そんなことは言わないで。衡くんは、衡くんにだけは、そんなこと、言ってほしくない。だって、だってね、衡くん、わたしは、あなたのことが ―」
ミステリアスな可愛い少女・白山さんが、いつも持っている黒い鞄は、別の世界とつながっていて……。ひょんなことから白山さんの秘密を知ってしまった平沢衡が、鞄から逃げ出した「阿頼耶識」を捕らえるために、彼女に協力していくシリーズの第三弾。今回は、夏休みに海に行ったら、そこに「嚢界」を知っているらしい少女がいて……というお話です。
夏休み。そして海。これで盛り上がらないわけがない。
九衛がはしゃぐのはいつものことですが、そんな九衛に釣られるように、怒ったり笑ったりと、いつになく感情を表に出す白山さんが可愛かった。しかも、白山さんが言ってほしい言葉を衡がちゃんと言ってくれるもんだから……反応して真っ赤になる白山さんとそんな反応を見て真っ赤になる衡の初々しいカップル模様がとても良かった。
それだけに、鞄の重みを突きつけられたときに、反応できなかった衡の様は……どっちの気持ちもわかるだけに辛かったなあ。非日常に接している時間が短いので、どうしたって覚悟に差ができるのは仕方ないと思います。
でも、だからこそ、大切な存在だということを意識していくことが大事なんですよね。
当事者たちだけじゃどうしてもギクシャクしちゃうところを、魔女たる先輩が情を見せて、ずれた歯車を戻してくれる様がとても良かったです。うん、そうだよね、仲間なんだよね。
それにしても、今回の敵の話は、やりきれないものがあったなあ。海底都市の統治者たるヘビ女の手足となった女の子の話は、よくよく見てみれば、白山さんと九衛の関係と同じだったし……表現の仕方が違っただけで、辛い結末を迎えることになってしまいましたが、相手を思う気持ちは伝わっていたと、そう思いたいです。
ところで、すっかり忘れていた衡の設定の話が(設定いうな)、ここにきて浮上してきましたが、これは何を意味してるのかしら。次あたり、もっと見えてくるといいなあ、なんて、ちょっぴり真面目に思ってたら、白山さんのラブ度満載の発言に破顔させられました。
もう、可愛いんだから!
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