「うまいものを食いたければ倍の金を。もっと満足したければ倍の量を。さらに喜びを倍にするにはどうすればいいか?」
ホロが豚の丸焼きを見てロレンスに向けた謎かけ。ロレンスは、笑って言葉を続けていた。
「共に食べる相手を増やせばいい。お前がうまそうにパンを食べる姿を見ていたらな、十分腹一杯だ」
麦に宿り豊作を司る賢狼の少女・ホロと商人ロレンスの旅路を描く物語の第十三弾。今回は、短編集。桃のはちみつ漬けを手に入れるために奮闘する「狼と桃のはちみつ漬け」、狼除けのお守りについて語る「狼と夕暮れ色の贈り物」、ホロ視点による「狼と銀色のため息」、ノーラの側に付き従う犬エネクの視点で描かれる「羊飼いと黒い騎士」の四編が収録されています。
ああ、楽しい。
ホロとロレンスが繰り広げるやり取りは、くすぐったくて、温かくて、信頼があって、素敵だなあ。読んでて楽しくなってしまう。もちろん、ひねくれ者同士ですから、直接的に愛をささやき合うことはないけど、謎かけを通して、相手の思いを汲み取って、笑顔を見たいが故に行動する二人が素敵でした。
それにしても、最初の二編のロレンスのクサい台詞がたまらん。
ホロ視点では、ロレンスの扱いが酷いなあと思いつつ(羊とか!)、文句を言いながらも拗ねちゃう様が見えて、ニヤニヤでした。
毛皮の売買で珍しく儲けた(といったら可哀想か)ロレンスでしたが、よりによってホロの……ね。大いに拗ねた内心を隠して、ロレンスをやり込める笑顔が素敵すぎた。
今回はどのイラストもホロが可愛かったなー。
そして「羊飼いと黒い騎士」。夢であった仕立屋になるために、疫病で壊滅しかけた町へ行くノーラを、騎士のように付き従う犬・エレクが語るお話なんですが、これはよかった。
ノーラはほんとお人好しで、そんな彼女にやきもきしつつ、誇らしく思うエネクがとてもいい。こんな人の側にいられたら、そりゃ騎士たらんとするエネクは嬉しくなっちゃいますよね。
ノーラにしても、決して不安がない訳じゃないんだけど、二人っきりになると胸の内をエネクに漏らして、言葉は話せないけれど、主のためにペロッと慰める関係がとても良かったです。いや、けしからんとも思うけどね!
素敵な短編集に大満足。つぎは長編らしいので、そちらも楽しみですね。
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