「あのね、バカだって思われることってそんなに怖がる必要はないよ。だってバカがバカだってことはちっともかっこ悪くないってば。バカはバカなだから、それ以上でもそれ以下でもないのよ。かっこ悪いのはバカを隠そうとした時だよ。バカを認めて「惚れられちゃってるよ、俺」とか嬉しそうに言ったとして、それでもし本当に相手に騙されたにしても、それはその時だよ。だいたい騙すやつが悪いわけで、何も天ちゃんが悪いわけじゃないんだから。バカでいいんだよ。男の子はずっとバカで」
人に憑依することで現世にとどまり、書類を携え申請すると、たまに願いを叶えてくれる邪神。一等級の邪神に憑依された心太(あだ名はテングサ)、クールなあっちゃん、三枚目なサトルの三人が、今日も今日とて喫茶店「不眠症」で騒いでいたら、暗い顔をした女性が「人を殺してほしい」という申請をしてきて……というお話。
これはとても面白かった!
邪神への申請は、事の善悪関係なく通るものは通り、でも申請が通ったとしても必ず叶うとは限らないんですが、人を殺めるという申請が通ってしまうと、憑依させてる身としては、何とも言えない気持ちになりますよね。まあ、申請する人の気持ちは分からんでも無いような悲劇があったんだけど……そこから見せられた物語は、あまりにも残酷で胸が抉られるような思いでした。
第一章でガツンとやられたおかげで、その後は心構えはできてたけど、なかなかエグいですね。
シリアス方面に進むと、ザクザク切り刻んでくれまが、学生組でだべってるときは、ユーモアあふれる楽しいやり取りを見せてくれて、さらに恋愛要素が入ってくると、とても素敵な青春模様になるからニヤリとさせられる。女の子を意識して、でも照れくさくて素っ気なくしちゃうところとかいいですよね。
好きな人のために、仲間のために、体を張って立ち向かう姿が、とても良くて、でも現実は厳しくて……というあたりは、胸が痛くなりましたが、ラストでじわっとさせられるから、素敵なお話ですよね。
よかったです。
少年テングサのしょっぱい呪文 (電撃文庫 ま 11-1)
牧野 修
アスキー・メディアワークス(文庫)
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