「それでも、やっぱり割り切れない所はあるからね。私は父さんを応援するつもりはないから」
きっぱり言い放った後、自分の部屋へと続く階段を上り始め―
その途中で足を止め、振り向き様にひとつだけ付け加えた。
「だけど私は、父さんの『夢』は応援してるよ」
いたって平凡な針山さん一家の周辺で起きる出来事が描かれる物語集。以下の作品が収録されています。
- 現代版かぐや姫のボーイ・ミーツ・ガール「なよ武の姫君は伝奇パンダの夢を見るか 前編・後編」
- 巨大ロボットのパイロットになるために自分でロボットを作った工場長の物語「工場長のドリームチェイス」
- 目が覚めたら記憶がない。いったい何があったのか……「としれじぇ3~メン・イン・ブラックの閻魔帳~」
- 他の短編をつなぐ「子供の中心、針山くん」
このシリーズ好きだなあ。
針山さんは脇役もいいところで、基本的にはそれぞれの短編が独立してますが、今回のお話で一番好きなのは、「工場長のドリームチェイス」です。パイロットになる夢を叶えるために、自分でロボットを作っていくお父さんの奮闘は、子供っぽいところもあるけれど、応援したくなるものがあるんです。ああ、ここにロマンがある。
もちろん、大人の事情とかが入ってきて、純粋に夢を追うことなんてできないんだけど、それでも決して諦めず、それでいて夢を託すことができる展開には、感動させられるものがありました。夢を追いかけるって素敵だ。
夢を追うお父さんもいいけれど、お父さんが好きで、ロボットが好きで、でも素直になれない娘さんも可愛かったですね。はたして二号機の行方がどうなったのか、興味津々です。
あと現代版かぐや姫も面白かったな。情報を収集するために、宇宙からやってきたのに、成長する前に忍者パンダに目覚めさせられてた少女と、彼女を見つけた忍者の末裔のボーイ・ミーツ・ガールは、いろいろニヨニヨさせられる。
物語的な意味で言ったら決してヒーローになれない男の子なんだけど、でも少女からしたら、彼が間違いなくヒーローなんだろうなと思いました。このお話はむしろもっと長く読みたかったです。
「としれじぇ3~メン・イン・ブラックの閻魔帳~」は、ちょっと読みにくかったけど、、いい感じにホラーテイストで面白かった。
次はどんな物語を見せてくれるのか楽しみです。
世界の中心、針山さん 3 (電撃文庫 な 9-32)
成田 良悟
アスキー・メディアワークス(文庫)
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