「あらあら。天音もお姉ちゃんが心配みたいね。でも、うちのお姉ちゃんは強いから大丈夫よ」
「私は、そんなに強くない」
「そう?」
問い返され、背中越しに母の笑む姿が見えたような気がした。
「だったら今日、少し強くなったのかもね」
転校初日から他人を拒絶する有川夕菜は、秘密があった。実は体から電気を発するパラライザーだったのだ。他人を傷つけたくないが故に距離を置こうとする夕菜だったが、クラスメイトの浅草千春や生徒会長の末長誠は、拒絶をものともせず……というお話。
他人と関わらないようつっけんどんな態度をとりながら、一度仮面を剥がされると、素のまま感情を出しちゃう夕菜がとても可愛いんだ。ツンツン純朴とはよく言ったもので。
彼女のペースを崩すのは、強引ぐマイウェイな生徒会長さん。人の話を聞いていないようで、実はいろいろ考えていて。過去のトラウマから焦りを見せたり、時にぶつかってしまうこともあるんだけど、この暴走もまた青春というべきでしょうか。
暴力はどうかと思ったけど、突っ走る人たちと、それを戒める人と間に入る人とが、真っ直ぐ語るやり取りを見てると、まったくもって格好いい生徒たちばかりだと思ってしまいますね。
そして、生徒だけでなく大人も格好いいんだ。
パラライザーなど迷惑でしかないと言っていた校長が与えた猶予や、さりげなくスポットライトを当てる教頭、娘のために優しく、それでいて芯のある言葉を投げる母。こういう大人たちの視線が、真っ直ぐすぎるバカものたちの暴走を支えてくれてたんだよなあと思う次第です。
なんていうか、一直線な青春劇という感じで、よござんした。
有川夕菜の抵抗値 (電撃文庫)
時田 唯
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