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[七飯宏隆] 放課後限定勇者さま。

「お、お待ちくだされ『勇者』殿。『マンガ』だの『げーむ』だのと違って我らの言いなりにならぬと仰るのは、その、どのような意味で……?まさか『勇者』として『魔王』と戦うのがいやだとか、そんなことは……」
「『魔王』に崖っぷりまで追い込まれ、異世界から『勇者』を召喚せざるを得なかったおまえたちの立場には同情する」
終夜はもっともらしくうなずいた。
「しかしよく考えてみろ。自慢じゃないが、ぼくはこのとおりごくごく普通の、ただの非力な日本の高校生だ。それが一人戦列に加わったところで、なにが変わる?」

突然異世界に呼びだされ、美少女勇者レウルーシカから「ともに魔王を倒しましょう」と誘われた格里終夜。だが、将来の夢はニートと公言し、魔王を倒すような力を持たない高校生である終夜が、元の世界に戻ったら、レウルーシカと彼女につき従うネコ(知能あり)がついてきて……というお話。

これは面白かった。
将来の夢はニートなんて言い出して、何をやるにしても逃げようとする終夜にイライラするんですが、天然なまでにまっすぐで、まっすぐすぎて危なっかしいレウルーシカを相手にしたら、放っておけなくなるあたりに、彼の根の優しさを感じて、ニヤリとしてしまう。まったく、素直じゃないんだから。

レウルーシカも勇者探しをするといいながら、何となく終夜が気になって、説教したり、認められるよう頑張ったりと、涙ぐましい努力をみせてくれるから楽しいんだ。
しっかりもののようで、実は……というところから、彼女の素顔をみることができて、心を揺らす終夜のシーンがよかったです。
ただ、レウルーシカは終夜を……と思わせる描写もあるんだけど、肝心の終夜がはっきりしないので、とても困る。

ニートを目指す終夜の気持ちは、過去のトラウマからきているものでしたが、何のために生きるのかということを、戦いを経て、実感していくところはよかったですね。
平凡な高校生といいながら、ひとつだけ持ってる異能を駆使して、魔王との戦いでの勝利の一端を担った彼の心の動きが熱かったです。

さて、四人の勇者が集まれば魔王が倒せる、といいながら、今のところ仲間は集まっても、勇者は集まっておりませんが、まあ、このあたり「幻視」に何かあるのかなと思わなくもない。
あんまハーレムにならないで、ラブコメな展開も見せてくれたら、面白くなるんじゃないかなーと思うので、続きも期待です。

放課後限定勇者さま。 (電撃文庫) - 七飯 宏隆

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