「<異端>……!?何で?殺したはずでしょう?」
『さあ?』
雪乃の疑問を、風乃はくすくすと嘲笑った。
『でも、これだけは言えるわ。本当の狩人なら他人が言う「殺した」なんか鵜呑みにしないで、自分の手で殺した死だけを、信用すべきじゃないかしら?』
<神の悪夢>が童話の形をなぞって現実となる異常現象<泡禍>を、<断章騎士団>の時槻雪乃と平凡な高校生だった白野蒼衣が追うシリーズの第十弾。今回は、解決したと思われた泡禍事件の後始末に向かった雪乃と颯姫が<異端>に閉じこめられて……というお話。いばら姫がモチーフになっています。
これはゾクゾクした。読んでて鳥肌たちまくりです!
生理的嫌悪感を見事に刺激してくれました。
扉にかかった指ぐらいなら、ゾクぐらいで済んだのに、芽が生えてきたら、もう!
脳内映像が一気にきて、ぷちぷちしてるところなんて音付きで再生されてやばかったです。
とまあ、そのあたりはさておき、<異端>により、入ることはできても、出ることはできない閉ざされた空間で繰り広げられる惨劇は、いつになくピンチの連続でドキドキです。
これまではどちらかといえば、泡禍を起こしているのは誰?という謎が主だったのに、今回はその部分は既に終わっていて、倒せない敵と対峙しなければならない恐怖がありありと伝わってきます。
あと、これまでにない雪乃の迷いというか、焦りが感じられると、なんともいえない気持ちになってきますね。
もう少し蒼衣を頼っても……と思うんですが、彼女のプライドがそれを許さないようなので、うーん。変にこじれないといいんだけどなあ。
なまじ蒼衣が雪乃の騎士然としてるので、よけいそう思うのかもしれませんが、いま起きている現象から逃れるには、蒼衣の力が必要になることは間違いないでしょう。
いばら姫の物語をどうやって解釈していくのか楽しみです。
断章のグリム〈10〉いばら姫〈上〉 (電撃文庫)
甲田 学人
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