「あなたは―だれ?」
突然の問いかけに学は面食らった。
「だれって……」
「わたしは白夜」
口の端が大きく持ち上がった。笑うとえくぼができて、ひどくあどけない表情になる。
「ねぇ、あなたはだぁれ?」
身体能力と科学技術に優れた異性人・アポストリと人間が、居留区の中で『共棲』するシステムにより、政治家の父を持つ学と、アポストリの評議長の姪・葉桜が『共棲』するボーイミーツガールの第三弾。今回は、社会科見学で十字架に向かったら、葉桜の母と同じ名を持つ不思議な少女と出会って、というお話。
学校行事に興味なんてなかった学が、少しずつ変わっていく様子が見えて、何ともほほえましい。これも葉桜効果だよなあ。クラスメイトたちに葉桜との関係を推し量られて、ちょっと無愛想になる学の様子にニヤリとしてしまう。
なまじ意識するようになってしまったが故に、白夜と出会ったあとの葉桜の変化は、学にとってきついものがありましたよね。何も言ってくれず、白夜ばかり構う姿から、思わず感情的になる気持ちはわかります。
葉桜もまた揺れる思いから、ぶつかり合いそうになったんだけど、白夜という存在がいい感じに緩衝剤になって、それがきっかけで、三人で家族のように過ごす姿は、とても暖かく感じました。
それだけに、白夜が導く悲劇がきつかった。
いつになく感情的な葉桜が大きく判断力を低下させていましたけど、それを引き留めるべく動いた学の命がけの行動に、ようやく目を覚ますところが、とてもドラマチックですよね!
共棲の歪みに気づきながら、それでも何かできることはあるんじゃないかと、前を見つめる学の姿がよかったです。
大きな事態を引き起こしながらようやく平穏が……と思った矢先に見えてくる不穏な空気は、今後、葉桜の伯母・茉梨花に大きな影響を及ぼしそうです。やばいなあ、どうなるんだろう。
葉桜が来た夏〈3〉白夜のオーバード (電撃文庫)
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