「ウェスタディアの、逃げた王子………………そうか。そういう楽しみ方もあるか」
それは急速に形を成し、具体性を帯びはじめた。
「ひとつだけあったよ、先生」
「は?」
「ここにいながらにして気晴らしができる、最上の娯楽がな」
「仁王」の崩御と共に、崩壊寸前となった弱国ウェスタディア。修道院という閉ざされた世界で平和に生きてきた優しき少女ルシリアと外務卿たるチェザーリが政治を、正規軍では芽が出なかったバドエルとアルファーニが軍を率いて、崩壊寸前の国を立て直そうと奮闘するシリーズの第四弾。今回は、内政に目を向けなければならなくなったロアキアのオリアスが、ウェスタディアへの嫌がらせとして、正当な王位継承者を送り込んで……というお話。
自軍が攻められぬのであれば内乱を、という策略を持ってくるところに、オリアスが単なる戦争屋でないことを思わせまず画、これが嫌がらせ以上のものでないところはもったいないなあ。成功しても失敗しても損はないけど、もうちょっと煮詰めていったら……なんて考えてしまう僕がいる。おかしいな、ウェスタディアのほうが好きなんだけどなあ。
そのウェスタディアの女王ルシリアですが、お忍びで城下町へ出かけ、ちょっとしたデートらしきものができてと、いつになく楽しそうな姿を見れたのが良かったなあ。チェザーリも満更じゃなく思えて、いい関係でした。それだけにその平和な時間を壊す策略に、怒りを覚えるばかり。忠臣すらも反旗を翻ざるを得ない状況を持ってくるあたりが特にいやらしい。
内乱は、国力の低下を招き、さらには確執までも残すことになるので、何とか戦いを回避しようと動きながらも、がんじがらめになって……というあたりはもどかしくてたまりませんでしたが、ルシリアのまっすぐな、慈愛の心が、多くの兵士たちの共感を呼んでいくところが、甘くも良かったです。
バドエルとアルファーニも、お互いの関係を見直すことができて良かったんじゃないかな。
ただ、内乱がどうにも物足りなかったのも否めなかったかな。もうちょっと動乱が引き起こされる展開がみたかったかも。
ウェスタディアの双星〈4〉うら若き女王騒乱に立つの章 (電撃文庫)
小河 正岳
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