「遠野綾、たとえば私が死んだときに、誰かが私のために泣いたとしたら、それは同情というものではないのかな」
彼女はテーブルからスプーンを取り上げ、指先でくるりと回す。
「ま、<こちら>には村瀬はいないのだし、お前はお前のやりたいようにすればよいのではないのか?百パーセント自分のためにした行動が、百パーセント誰かのためになる、そういう奇跡もたまにはあるさ」
部活を通して知り合った他校の生徒・村瀬一哉に、挽かれたものの、出会う前に彼は亡くなってしまった。心の喪失を抱えた遠野綾だが、一哉の通夜にいった夜、ケータイにかかってきた電話は一哉からで、しかも彼はいう。あたしが死んでしまったと……パラレルワールドな中、電話を通して語り合ううちに、お互いの死因に不審なものがみえてくるミステリー。
電話では話すことができるけれど、同じ場所に行っても、相手の姿を見ることができないもどかしさは、せつないものがありますね。
とはいえ、切なさ全開ってわけではなく、情報交換をしながらお互いの死因を探っていく過程では、結構コミカルなものもあったりして、微笑ましいものを感じたりしました。日記のシーンとかね!
まあ、その話をしている間の楽しさが、逆に不安を呼び起こしてくれるんだけど、このあたりはちょっとちぐはぐだったかな。もちろん、悲しんでばかりだったり楽しんでばかりなわけがないのはわかっていますが、もうちょっと心情をみたかったなあ。まあ、僕の好みの問題ですね。
ミステリー展開ではあるんですが、早いうちにだいたいのところは見えてしまうので、サスペンス性に欠けてしまうのはちょっと物足りないところではあるんですが、ラストに至るまでの道のりが綺麗にまとまった作品だなあという印象を受けました。
欲を言うなら、逆側のお話も読んでみたかったですね。語り手である綾を気にしながら、一哉はどんな思いだったのか、想像したくなりますから。
第15回電撃小説大賞金賞受賞作。
パララバ―Parallel lovers (電撃文庫)
静月 遠火
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ちなみに小説内ででてきた「パラサイト」という映画は見たことがあります。超B級ですけど、ジョシュ・ハートネットが好きなので。
面白かったですよ。
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