「お前も大変だな。しかし、いよいよらしくなってきたな」
「何がだよ」
「お互い高校生にもなって、兄妹喧嘩ってのも大人気ないって言われればそれまでかもしれないが、それはそれで兄妹らしくなっているってことだろ?」
新しい家族になる人を紹介したい ― 父の言葉に蒼介がドキドキしていたら、現れたのは緋美子と名乗る自分と同じ顔をした女の子だった。双子の妹だって?十数年もの間、知らされていなかったことに憤慨したけど、可愛くて凶暴な妹はどこ吹く風。共に暮らすことになり、さらに同じ高校に通うことに。なるべく関わりあわないようにしようとしたのに、緋美子は学校内で起きている怪事件に興味を持ちだして、というお話。
これはいい意味でオーソドックスな兄妹ものですね。
出会いはどちらもツンとしてましたが、兄である蒼介が何かと反発するのは、わかる気がしますね。そりゃ十数年も妹や母親のことを知らされたなかったら、疎外感を受けますよ。まあ、ちょっとやり過ぎかなと思うところもあったけど、それは意地っ張りみたいなものですよね。口では妹に勝てないし、合気道まで嗜まれてるんじゃ、逃げるしかないよなあ。
緋美子は学校では猫をかぶってるので、何かと蒼介が悪者になりやすく、仕方無しに折れていたら、だんだんと妹の素直な一面を見ることができて、あるいは男の手が伸びてくると心配したりしちゃうから、可愛いものです。はじめのころのの反発はどうなったんだって感じの「お兄ちゃん」っぷりが良かった。
一方の緋美子は、まあ、出会いからして気の強さを見せ付けていたわけですが、蒼介にあんなにも突っかかったのは、自分のことを忘れられてたからってのもあったんでしょうね。致し方ないと思いながらも、素直じゃない感情が見えるところにニヤニヤしてしまいます。
はじめはからかう感じで「お兄ちゃん」と言ってたけど、共に過ごすようになり、また離れていた間の自分のつらさと兄のつらさを知るようになってから、距離が縮まってきた感じがあって……この兄妹の距離間はいいなと思いました。
学校内でおきてた怪事件については、共に行動するためのおまけかなと思ってたんですが、意外にも静野家を語るうえで欠かせない出来事と絡んできたりして、面白かったです。ぎりぎりで真相がつかめないという展開の連続は、お約束と思いながらもちょっともどかしかったですけど。
お兄ちゃんの淡い恋模様も気になるけど、それよりなにより、未だ蒼介の前に姿を現していないお母さんの行方が気になります。じわっときたあの母親の言葉と、それを見守る妹の視線がとても良かったので、次は実際に会ってほしいな。
静野さんとこの蒼緋(ふたご) (電撃文庫)
水鏡 希人
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