「おい、咲。その『コトノハ』を返せ」
すると咲は家の中でくるりと振り返り、べーっと軽く舌を出して面と向かって言った。
「贈った言葉は返せないのよ」
特殊な力を宿した道具「アンティーク」を巡るお話の第五弾。今回は以下の四編が収録されています。
- 未来から前借りする、他人から奪う、現在の幸運をあげるバングルのアンティークを巡る「幸運」
- 世界中の悪意が封じられている壷をめぐる「希望」
- 望んだ人に望んだ思いを届けられるコトノハを巡る「言葉」
- 「業務命令」でデートすることになった刻也と咲を描く「本音」
毎度のことながら最後に収録されている短編の咲の魅力は最高ですね。最近では刻也も意識してたりするので、楽しさ倍増です。業務命令でデートさせるとは都和子さんもゆなあとニヤニヤしてしまいましたが、お互いこれは仕事の一環と言い聞かせながら、はやる気持ちを抑えるところが伝わってきて、ああ、楽しい!
いつになく拗ねる咲の様子がみれたのは楽しくもあり、乙女心をわかってない刻也にやれやれだぜと思ったりしましたが、最後にコトノハが素敵な思いを運んでくれて、暖かい気持ちになりました。きっと咲は、あのコトノハを大事にするんだろうなあ。
咲から刻也に送られるコトノハの物語も読んでみたいですね。
そのほかのお話の中では、初っぱなの「幸運」がミステリーテイストで面白かった。さすがにあれだけの情報じゃわかいませんが(いいわけ)。アンティークにかこつけて、さりげなく刻也に身を寄せる咲に悶えたりしましたが、それはともかくとして、バングルを収集していった二人組が気になります。そのうち対峙するのかな。
思いという点では、「希望」が見せてくれた世界が強烈でした。壷に封じられた悪意が見せてくれた世界は、あまりにも人への愛が込められていて……。迷う刻也の気持ちはよくわかるけど、咲と共に戻る決意には、やるせなくも今を生きる人の覚悟が見えました。
いやあ、面白かったですね。次も楽しみです。
付喪堂骨董店〈5〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)
御堂 彰彦
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