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[御影瑛路] 空ろの箱と零のマリア

「ようやく理解したか」
「……ちょ、ちょっと待って」
3月2日を2601回やり直している。それだけでも僕を混乱させるのは十分なのに、音無さんはこんなことを言っている。
「それを僕がやっている?」

私はお前を壊すために、ここにいる ― 転校生の音無彩矢の言葉の意味はわからなかったが敵意だけは感じられた。はじめてあったはずの人に何を恨まれてるんだろう?……3月2日を繰り返す「拒絶する教室」の中で、ループから抜け出そうとする少女と少年を描いた物語。

これは面白かった!
いや、初めはすっごい読みにくかったんですよ。同じ日を繰り返す描写がぶつ切りで記されてて、何が起きてるのかまるで掴めないし、語り手である一輝に対してやたら敵意を見せる彩矢も、何が目的なのか見えないし。

それでもループが続くにつれて、一輝が少しずつ以前の記憶を持ち出せるようになってくると、俄然面白くなってくるんです。何が起きているのかわからないながらも、手探りで先へ進もうとする一輝と、彼の言葉に現実味を感じていないのに、手を貸す友人たちの姿を見ていると、ちょっと熱くなったりしたところもありました。

そんな温かい気持ちは、あっという間に壊されてしまうんですけどね。

ループすることの空しさが、不意に見せられたりして、やるせないものがありました。ループを抜け出そうと信念を持った人が、その心の強さが故に、大切なものを失って愕然とするシーンは、背筋が寒くなるものがある。

彩矢の心が折れるかと思った矢先に、とある出来事が発生して、一輝が力を貸すことになるんですが、ここでのミスリーディングには、何度引っかかったことか!

あれ?っと思ったことはあったのに、ついついスルーしてしまうのは、ループの原因に恋愛模様が絡んでたからかしら。く、恋は読んでる僕の心までも惑わすんですね。

ループする世界で見えたのは、圧倒的な孤独で、そりゃ心も歪んでしまうよなあと思ったけれど、最期の最期で思いを馳せるのは、やっぱり好きな人、なんですよね。ループする世界を抜けたら、恋する想いが終わってしまう。そのことを知りながらも、告げた思いに、涙がじわりと浮かんできました。

いやあ、面白かった。
ここまで、切なくまとめながらも、最期ハッピーエンドに持ってくるんだからすごいです。おいおいと思いながらも、嬉しくなっちゃう終わり方でした。やっぱりこの人いいな。

空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫) - 御影 瑛路

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