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[杉原智則] 烙印の紋章(2) 陰謀の都を竜は駆ける

(慣れぬ異国での戦いに、必死で身を投じている姫の命をもあっさり切り捨てて、何をするつもりだ?)
怒り。他人の命を、その運命を無頓着に操ろうとする者への怒りは、かつて、オルバが村を焼かれたときに抱いた、黒い、粘り気のある感情と同種のものだった。
(やらせるものか)
(何ひとつ、貴様らの思いどおりになどさせてたまるものか)

うつけと評判なメフィウス国の皇子ギルと瓜二つな顔をしていたことで、明日の命もわからぬ剣奴隷から、皇子の影武者に抜擢されたオルバが、陰謀渦巻く都で生き抜いていくファンタジーシリーズの第二弾。今回は、皇帝の専横が目立ち始めたことで、反皇帝派が動き出したという噂をオルバが聞きつけて……というお話。

いやあ、面白い!
皇子と剣闘士。二つの顔を利用して、陰謀劇の真相に迫っていく展開は、綱渡りなドキドキ感があるんですが、皆が二面に気づかぬところにニヤリともさせられるものがあります。剣闘士はいわば奴隷なので、みなの扱いがひどかったり、逆に奴隷たちに同情されたりと、なるほどこうやって情報を集めることができるのかと思った次第。
陰謀劇に足を踏み入れるってのは、心躍らすものがありますね。

オルバの行動は、奴隷にしては頭よく思えますが、むしろ彼の戦い方からきてるのか。派手さはないけど、隙を着いて着実に仕留めるという剣闘士としての戦い方を、陰謀劇での戦いでも使っている気がします。ただ、その二面性が時に自身の迷いを生み出しているようで、このあたりいつまで持つのかなあと心配になってくる。

なんせ、皇子のときはうつけを装っているおかげで評判はあまりよくなく、一方の剣闘士は、英雄的存在になりつつあって、皇子の義妹イネーリが興味を持っているなんてのは序の口で、奴隷をまとめてるパーシルは、皇子を憎み、剣闘士を仲間としてみていて、さらに婚約者ビリーナは、剣闘士に気を……ああ、なんか切ない物語になってきそう!

いっそビリーナやパーシルに打ち明けることができればかなり楽なんだけど、オルバから言うなんてまず無理だろうし(怪しまれる可能性は高いと思うけど)、このあたりどうなっていくのかとても気になる。

それにしても、今回のお話で、だいぶ帝都も危なくなってきてることが見えてきましたね。皇帝がいきなり、ご乱心に近い政策を始めてるのは何の考えがあるのか、それとも誰かが操ってるのかはわかりませんが、皇帝だけでなく、誰もがトップを狙おうとして陰謀張り巡らせてるから、まったくもって欲深い者たちは……と呆れてしまいますが、命がかかってるものからしたら、そんなのんきな事いってられないから大変です。

まあ、陰謀を張り巡らしたものが失敗すれば当然消えていくので、これからも側近や他国の間者が入り乱れてくると思いますが、最後……になるかどうかはわからないけれど、皇帝とも戦う日がくるんじゃないかなあ。いやはや、どうなっていくのか、続きがすっごい楽しみ。

烙印の紋章 2 (2) (電撃文庫 す 3-16) - 杉原 智則

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Comment:1

ジャラル 2008-11-12 (水) 11:09

皇子と剣闘士の二つの顔を持つ主人公オルバの活躍する話も2巻目、今回は各国間の駆け引きに踊らされて、クーデターを企てる馬鹿貴族が相手。オルバをマークする陰謀家も現れたし、本当に次巻が楽しみです。

第一巻のコメントでオルバ(の歴史的な立ち位置)が、若き日の織田信長に似ている(うつけもの扱い、敵国から嫁ぐ姫、美人の妹)と書きましたが、父王との関係は武田信玄を連想させます。信玄は対立した父親を他国に追放しますが、果たしてオルバは・・・?

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