「やはりこの責任ハ、隊長である君にとってもらわないといけなイ!」
「わ、私ですか?」
「そこで愛ダ!君にはちょっとばかしラブって貰おうカ!」
落伍者と、殺人鬼、探偵、チェーンソー使いなどなど、化け物並みの強さと個性を誇る悪党がはびこる日本でありながら日本でない「島」での饗宴を描く越佐大橋シリーズの連作短編集です。
いつもに比べたら平和なお話でしたね。いや、さっくりと人は死んでいくんですが、メインメンバーが戦いあったりしないせいかな。あんまり殺伐としたものを感じませんでした。っていうか、ラブ度が高く感じられたから、そう思ったのかな。
潤と戌井は、ある意味強制的なものがありましたけど、ナズナと八雲、探偵姉と麗凰などは……ねぇ!思わずにんまりさせられる描写がたっぷり。普段はアレなのにナズナのことになると、おバカなまっすぐさを見せる八雲のやり取りや、実は麗鳳ってツンデレだったのね、なシーンにはやられるばかりでした。あー、楽しい。
それと、今回、良かったのは、西地区のイーリーの妹「眠り姫」リーレイの話かな。暗闇で育てられた少女が、始末屋へと変わっていく中で見せられる無邪気な日記が切ないです。彼女にとっては、夢もまた現実なんだろうけれど……でもなあ。いつかちゃんと心を取り戻してほしいけど、どうなるのかしら。
あと、個人的に嬉しかったのは、ふたりの狗の関係が、敵でありながら同士であるみたいになってるところです。ああいいなあ、こういう関係。ただただ暴れまくっていた昔と違い、人のために動ける人へと変わってくれたところに、成長を感じました。今後もいがみ合いながら、島を守っていってくれたらなと思う次第です。
あとがきによると、「5656!」に続く構想があるらしいので(しかも今回なかった葛原話!)、楽しみに待っていたいと思います。
5656!―Knights’Strange Night (電撃文庫 な 9-28)
成田 良悟
アスキー・メディアワークス(文庫)
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