「私はこの学園が好き」
「君と一緒にいられたこの学園が好き」
「私はその思い出を大切にしたい。何年経っても何十年経っても寸分の狂いもなく語って聞かせることができるぐらいには、ね。胸を張って堂々と、私はこんなに幸せな時間を過ごしてきたんだぞって言えるように」
廃校が決まったMW学園の最後の卒業式の日を舞台に、恋やホラーや謎解きなどを八人の作家が描く連作コラボレーション短編集です。
- 壁井ユカコ 「ハルカワくんと人体模型」
- 渡瀬草一郎 「カガミのムコウ」
- 三上延 「M/W・二枚のメダル」
- 佐藤ケイ 「MW学園の崩壊」
- 片瀬勇 「スケッチブック」
- 柴村仁 「天使は飛行船の夢を見るか?」
- 有沢まみず 「NICE GAY」
- 鎌池和馬 「謎のその先に」
- 成田良悟 「卒形式 マヨイガハレルヒ」
個人的に面白かったのは、「ハルカワくんと人体模型」「MW学園の崩壊」「天使は飛行船の夢を見るか?」「NICE GAY」かな。
「ハルカワくんと人体模型」は、人体筋肉解剖模型の恋を描いたお話で、人体模型を目の前にしても、さほど動じないハルカワくんとのやり取りが、とてもいい雰囲気でした。勘違いとかあったけれど、好きな人のために怒れる姿がすっごいよくって、こんな人体模型だったら、僕もお友達になりたいと思う今日この頃。「またあとで」何よりの言葉ですよね!
「MW学園の崩壊」は、十年後に開ける予定だったタイムカプセルを、廃校ということで開けてみたら、中に死体が入っていて、という何気にホラーテイストなお話でした。殺された少女の仲良しグループの腹の内が見えるあたりは、なんとも人の醜さを感じます。ラストがまた嫌らしい終わり方でしたが、もうちょっと、こう、落としてくれたら最高だったかもと思う僕がいる。
「天使は飛行船の夢を見るか?」。MW学院に勤めている神父が、実はとある組織のエージェントで、天使の少女を保護するって、どんなお話だと思いながら読んでたんですが、これはまさに少女の最後の言葉に悶えるしかないお話でした。あの一行で、僕の心を一気にかっさらっっていきましたよ!まさにやられた気分いっぱいですが、嬉しいですね。
「NICE GAY」は、ガイというかゲイというかそういうお話。一瞬引くものの、実は結構高校生らしい青春もので面白かった。っていうか、むしろ、こういう思いがあってもいいんじゃないかと思ってしまうあたりが、有沢まみずにやられてる気がしないでもない。バカなことをやりながら、背中を預けることができる親友と共に、校門を潜り抜けるシーンに、じーん。
最後に、各作家さんがいろいろ作り上げた伏線やら何やらを纏め上げた成田さんはたいしたものだと思いますが、ちょっと無理があったような気がしなくもない。
ともあれ楽しませていただきました。こういう企画がまたあったら、手を伸ばしてみたいですね。
最後の鐘が鳴るとき (電撃文庫 て 4-3 電撃コラボレーション)
電撃文庫記念企画
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