「僕のことを知っているのか……?」
少女を見上げて、僕は訊いた。得体の知れない少女の招待に対する恐怖より、好奇心のほうが勝っていた。少女は、今度ははっきりわかるくらいに笑った。
「もちろんだ。あるいは私は、おまえ以上におまえのことを良く知っているかもな。二巡目の世界の夏目智春」
幼馴染の水無神操緒に取り憑かれた夏目智春が、兄・直貴の残した「イクストラクタ」を手にした事で、世界の真実へと立ち向かうことになるシリーズの第十一弾。今回は、戦いに敗れた智春が、一巡目の世界で彷徨うお話です。
面白くなってきたじゃないですか。
序盤から中盤にかけては、一巡目と二巡目の時系列や人間関係のズレに混乱してしまいましたが、繋がりが見えてくると、なるほどと思えるものがあります。
突然飛ばされて不安を抱えていたときに、嵩月と出会えたときの安堵感といったらなかったですが、そこであんな行動まで取るとは、正直、智春を見誤っていました。ちょっと唐突感があったけれど、嵩月はどうするのかと思ったら……、まったく。そこで遠慮しちゃうから、ダメなんですよといいつつ、そこがらしいとも言える。
一巡目で一番驚いたのが、智春の彼女と呼ばれる魔女がいるって話を聞かされたときですね。智春自身、いったい誰だと疑問に思ってましたが、読んでる僕も誰なんだろうと頭の中にはてなを浮かべながら読んでましたが、ああ、そうか!とポンと膝を打ちました。すっかり騙されたけど、たしかに彼女しかいないよなあ。
魔女と呼ばれるまでの時間を思うと、涙を誘われますが、ここで二巡目の智春と出会えて、本当に良かったねと言いたくなるものがあります。
嵩月の体に起きた変化や操緒が出てこないことから、機巧魔神の秘密が見えてきましたが……まだよくわからないなあ。鍵を握るのは、操緒ってことですか。どうやら次作が一巡目世界の後編になるらしいので、そこでさらに見えてくるものがあるでしょうね。今回と違って派手になるそうなので(今回の雰囲気も好きだけど)、とても楽しみです。
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