「……仕事関係ないけど頼っていいわけ?」
「あのなぁ」
手塚は大きく溜息をついた。
「仕事関係ないのに俺と兄貴の事情にまで首突っ込んでくる奴が今さら何言ってんだ?今さら妙な遠慮する間柄でもないだろ」
「じゃあどんな間柄よ」
戦う図書館員たちを描いたシリーズのスピンオフ第二弾にして完結編。第一弾は、悶えさせてくれる恋愛成分満載でしたが、今作はちょっとビターなお話が印象に残りました。
収録されてるお話は以下の五篇……ですが、最後の三篇はまとめてひとつって感じなので、二編+中篇ひとつって感じですね。
- 緒方副隊長の大学のころの切なき恋を描いた「もしもタイムマシンがあったら」
- 奥様にせがまれた篤が、小牧との新人時代を語る「昔の話を聞かせて」
- ストーカーに悩まされる柴崎が、大切な人を手に入れる「背中合わせの二人(1) ~ (3)」
過去に戻れるとしたらいつがいい?という話題で、堂上班の面々が、盛り上がっていたことで、大学のころの恋を思い出した緒形副隊長の過去話が描かれる「もしもタイムマシンがあったら」は、電撃文庫MAGAZINEに収録されたときに読んでましたが(→ 感想)、それでも読み出すと、やっぱり切ない。
自分の仕事に対しての真剣さが足りなかったといえばそれまでですが、そのことに気づかせてくれた女性がいてくれたのは、辛く、悔やむ事になりましたが、彼のその後を思うとよかったと思います。傷つきながらも過ちを示してくれた女性の強さには、思わず姿勢を正したくなりました。
それだけに、独身を貫いてきた緒方に、ひょっとしたら「都合のいい想像」がと思うと、すっごい嬉しくなりますね。できれば、その後も見たかったけど、それは無粋というものかな。いつまでもお幸せに。
堂上と小牧の新人時代のポカ話「昔の話を聞かせて」については、まあ、ポカといいながら、あの二人のことなので、郁のやらかしたことに比べれば、たいしたことないと思ってしまう僕がいる。っていうか、二人の夫婦してる姿は、なんか、こう、変に照れちゃうものがあるなあ。でも、くっついてしまうと、クーという悶えるものがなくなってしまうのは、ちと残念だったりするけど。
そしてそして。図書館シリーズのカップルの中で、一番の気になる存在だった柴崎と手塚のお話「背中合わせの二人」が、今回一番よかったなあ。かなりビターでしたけど。
ストーカーに悩まされた柴崎のために、手塚が彼氏の振りをして、というあたりは、ニヤニヤしちゃうんだけど、それより何より意外だったのは、柴崎の弱さが見えるところでしょうか。隙がないようにみえて、それは人との距離をとるためのものであることが見えて、ああ、彼女はそういう人なのかと寂しくもなりました。
手塚という存在についても、はっきりとした答えを出せないあたりに、彼女の迷いが見えたりしましたが、でも、彼女が自分の弱さを見つめなおしたからこそ、仲間の大切さを実感して、大切な人がいることに気づいて。
ストーカー事件が終わったと思った直後の出来事については、辛かったと思います。苦しかったと思います。
でも、そのことがきっかけとなって、手塚との間に幸せをつかむことができたのは、本当によかったと心から思いました。
「大事にして」と泣きながら訴えた彼女が、平和を取り戻したあとに見せてくれた幸せな姿に、手塚を手玉に取りつつ、でも手塚の反撃に動揺する、そんな関係に、ごちそうさま。
別冊図書館戦争 2 (2)
有川 浩
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- 素直な柴崎は、凶悪に可愛いね。 あそこまでいかないとそうなれなかったのはわかるけど、でも、やはりあまり気持ちのいい話じゃなかったので...
Comment:1
- いもこ 2008-11-26 (水) 16:12
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はじめまして。
キツイ話でしたが,最後「ごちそうさま」といえたことにほっとしました。<背中合わせの二人
柴崎はますますイイ女になって,手塚をさらに振り回してもらいたいものです。トラックバックさせていただきました。お受け取りいただけるとうれしいです。






