「なんだよ、それ。お前ら、まるで自分たちが少数民族か何かみたいな……」
「そうだよ、霧沢」
無理矢理ふざけてみたのに、返ってきたのは首肯だった。
「少数民族……そう言っても間違いじゃない。でも、もっと適当な言葉がある」
その顔はさっきと同じく、やけに真面目なもので、同時にどこか悲しげで、
「あたしたちは人間じゃない」
性悪メガネと渾名される高校生・霧沢景介が、人あらざる『鈴鹿』一族の内部分裂により、隠れ里から逃れてきた姫・枯葉と出会い、一族の争いに巻き込まれていくお話です。
序盤のほのぼの学園な雰囲気がとても良くて、容姿端麗な優等生や、ほんわか天然な可愛い女の子、姉御肌な子たちとのやり取りや、引っ込み思案で暗い女の子に、ちょっとした親近感を持って、近づく景介の思いなど、このまま学園ものでいってくれたらと思うばかりの人間関係ですが、当然ながらそうは問屋が卸さなくて。
序盤のあのシーンは、まさに衝撃の一言でした。
恋とは呼べないのかもしれないけれど、ひょっとしたら育っていったかもしれない想いが、散っていくところは、呆然とするものがありました。
こんな直後に、一族の「喪着の儀」なんてものを見せられたら、そりゃ混乱するよなあ。
今までの平和な世界が、たった一つの事実からガラリと変わっていく展開は非常に面白かったです。
ただ、その衝撃があまりにも大きかったのと、そのあとは一族の説明的なものが中心となったので、いまいち盛り上がらなかったかなあという印象がありました。
やるせない恋の行方や、複雑な思いから間違った方面に突っ走ってしまう景介の心情は良かったんだけど、その悩みがぐちゃぐちゃになっていくところは、何となく合わなかったかなあ。単に好みの問題だと思うけど。
ともあれ、『鈴鹿』一族の話はまだ始まったばかり。
『鈴鹿』の争いと、景介と彼を夫としたい『鈴鹿』の姫・枯葉の関係がどうなっていくのかは、気になりますね。
アカイロ/ロマンス―少女の鞘、少女の刃 (電撃文庫 ふ 7-16)
藤原 祐
アスキー・メディアワークス(文庫)
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