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さよならピアノソナタ(3) / 杉井光

「あなたは、ムソルグスキーにおびえることなんてない」
真冬がぼくの間近で顔を上げる。鼻が触れ合いそうな距離。
「ただのロックでいい。だれかのコピーでも。それはあなたの音楽。わたしは、わたしも、千晶も、響子も、それが演りたいの」

恋と音楽の青春物語の第三弾。今回は、初ライブを終えて、次のライブの場を求めていたとき、真冬のギターの師匠であるヴァイオリニストが現れて……というお話。

一度ライブを経験したことで、次のライブを目指していく姿が、とてもいい。特に今まで一歩引いていた真冬が、ライブのために、ナオのために、ちょっとだけ積極的になる様がとても印象に残りました。
でも一番印象に残るのは、先輩なんですけどね。

クラス対抗合唱コンクールが開催されるとき、先輩VSナオ・真冬・千晶のクラスで勝負をしたときのあの格好良さは忘れられない。きっとナオからしたら、永遠に追いつけない、でも追いかけていきたいと思える人なんだろうなあ。でも、そうなると、先輩との間に恋は芽生えそうにないので、とても残念。

先輩にしろ、千晶にしろ、ナオを見ていれば、誰を一番気にしているかは気づいていると思うんですが、敵に塩を送りながらも、なお、自分の思いに正直に生きる少女たちの姿が、とても眩しく感じました。もちろん、悩むことはあるんだろうけれど、足を引っ張る方向にいかないあたりが「フェケテリコ」のいいところだと思います。やっぱり、音楽という繋がりがあるからなのかな。

その音楽の繋がりを、真冬がギターを始めたきっかけを作ったというユーリという男の子と真冬との間で見せ付けられてしまい、ナオがうじうじと悩むんですが、その悩みの元となった感情が嫉妬だとなかなか気づかないあたりは、やっぱり朴念仁というか、おニブさんというか。

今まで考えたこともなかった「真冬との関係」を問われて、悶々としていたナオですが、やっぱり居場所を明け渡すわけには行かないと思ったのは、真冬の言葉があったからなんだろうなあ。
真冬のまっすぐな言葉と、彼女の言葉を膨らませて胸に響かせてくれる先輩の言葉は、幾度となく心を奮わされました。

いやあ、面白かった。
ようやくお互いの思いを……と思ったけど、ナオのニブさからすると、好意を伝えただけのようにも思えるから、不思議です。どんだけ僕の中でヘタれキャラなんだろう。でも、彼女のそばで、という決意自体には嘘はないでしょうね。ベーシストとしてだけでなく、音楽を言葉で伝えていくことができたらと思いました。

まだまだ二人の思いは、始まったばかりのような気がするので、もっと距離が近づいてくれたら嬉しいですね。

さよならピアノソナタ 3 (3) (電撃文庫 す 9-9) - 杉井 光

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今回も著者の杉井さんが、本編に出てきた曲の紹介をしてくれてます。あー、また読みたくなってきた。

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