転校初日。学校内で迷った森口織人は、目の前の光景に驚いた。制服を着た美少女が、ゴムチューブで縛られているのだ。助けて……という言葉に、慌ててゴムチューブをはずそうとしたら、頭の中に、縛られた彼女があんなことこんなことされる「映像」が!なんと彼女・遥奈原初雪は、陰陽道を修めている巫女で、接触すると彼女の思考が漏れてしまうというのだ。しかも、彼女の霊力は、妄想力が言動となっており、普段はおとなしくまじめなのに、ふとしたことで、そういった妄想がとまらなくなり……
陰陽道を修める妄想美少女・遥奈原初雪と、彼女の秘密を知って支えてあげたいと思った男の子・森口織人が繰り広げる学園ラブコメ妖怪退治物語です。
これは楽しいなあ。はじめは、「です・ます」で語られる文章が読みにくかったり、「映像」の意味がわからなかったりで、なんともぎくしゃくしたものを感じてたんだけど、初雪の力が見えてくるにつれて、面白くなってくる。
何といっても、妄想っぷりがいいですよね。妖怪と戦ってるときだけじゃなく、たとえば隠れるために男の子と二人でロッカーの中へ、みたいなイベントがあるときも妄想しまくって、しかもそれが狭いロッカーのため接触してる織人にも漏れ伝わってきて、何ともいえない悶悶さが両者に見えるところとか、笑いが止まりません。
妄想こそアレですけど、普段は引っ込み思案というか、おとなしい女の子なので、それ以上進展することは無いんですが、はじめは誤解して距離を置いていた初雪が、織人の真摯な態度に、だんだんと気を許していくところはよかったです。こういう距離感のラブコメ大好き。
織人自身はただの人なんですが、気づけば妖怪退治に付き合わされてしまっているのは、強くともどこかドジっ子な初雪がピンチの連続になってしまうからで。力が無いのに、彼女のためを思って、全力で守ろうとする姿は、格好いいです。
もちろん、ひとりではなくて、初雪の式神であるレキが、守ってくれたり邪魔してくれたりするんだけど、このレキとのやり取りも楽しかったです。毎回、初雪の霊力を上げるために、織人の口を使って、ボソボソと初雪の妄想を増幅させるやり取りが最高でした。
とまあ、ドタバタお話が進みながら、自身の「力」から友達を作ることすらできなかった初雪が、信頼できる友達を手にできたってところが、今回一番良かったところだと思います。
今のところ、織人しか気づいてませんが、これからさらに友達を作れるかもしれないんですから、そうなったら、初雪も嬉しいだろうなあと想像すると、続きが楽しみになってきますね。
続編も期待です。
森口織人の陰陽道 (電撃文庫 お 7-12)
おかゆ まさき
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