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[うえお久光] シフト 3 ―世界はクリアを待っている―

「ていうかさ、本当に委員長、おれがいったこと理解しているのかな?おさらいしとく?」
「え?」
「まず、これがいちばん大事なことだけど、助けるって言葉を使っているけれど、性格には、おれは委員長を助けられない。委員長が『シフト』している、という状況は、おれにもどうにもできないから。だからおれができるのは、委員長の身に起きている『普通じゃないシフト』を、『普通のシフト』にもどすことだけで。それがはたして本当に、委員長を助けることになるのかはわからない。もしかしてこのままにしておいたほうが、委員長にはいいかもしれない。少なくとも、普通に死ぬより楽に死ねるだろうから」

眠ることによって、現実世界での日常と、ネットゲームのようなファンタジーな世界を行き来する少年少女の物語の第三弾。今回は、現実方面でコンプレックスを抱えている委員長・高嶋空が、「シフト」の苦しみから逃れたいと、赤松祐樹に助けを求めるお話です。

「カードマスター」と呼ばれる高レベルの戦士・カレンの意識と共存するという、今までとは違う形の「シフト」を繰り返すソラですが、「シフト」する度に激痛を味わうというのであれば、そりゃ、人前で眠ることに怯えるようにもなるか。現実で赤松祐樹の手助けを借りて、「シフト」した先でカレンと共に困難をクリアしていくところは、なかなか魅力的なものがありました。

ただ、空 / ソラの視点でばかり描かれるので、はたして赤松が、カレンが何をしているのかは、なかなか見えてこなかったんですが、これがまた痺れるようなことをやってくれてるんだ。気づいたときには、もはや……という感じではあるんだけど、そこへ至る心情を明かさないまま、目的を貫き通す姿は、「シフト」した先だけでなく、現実にも及ぶものがあって。
やっぱり「シフト」世界で生き延びてきた人たちは、どこか違うものがある。

とまあ、カレンとソラのお話が進んでいったわけですが、この二人の共存がいつまでも続くわけがなく。そもそも、なぜこんな共存が生まれたのか、というあたり見えてくる急展開といったらもう!

一人旅を続けてきたカレンの壮絶な愛が生み出す覚悟には、まさか!という驚きと、この愛が魔王を生み出したのか!という、膝ポンを味わいました。いやあ、素晴らしい。

しかも、カレンの思いを受け継いだソラが、赤松に対して、絶大なる恩を感じているようだけれど、よりによって、リカルトのところにつくことになるんだから、いやはやどうなっちゃうんだ、これ!
「シフト」してきたばかりも同然なので、間違いなく、今まで出てきた主要キャラの中では、弱い部類に入るだろうけれど、魔王と勇者の架け橋として、キーパーソンになりそうな感じもありますね。

ここからどんな展開が待ち受けているのか予想もつきませんが、おそらく前提条件はそろったと思うので、怒涛の展開を期待したいと思います。ああ、続きが楽しみで楽しみで仕方ない。

シフト 3―世界はクリアを待っている (3) (電撃文庫 う 1-22) - うえお 久光

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