「好きな男の子の為に、敵意を抱いている『組織』に乗り込もうなんて、ヤンチャだけど思いやりのある娘を育てたっていうだけで十分に素敵でしょう?」
「なッ……何をおっしゃっているのですか!私はただ……」
「ただ?」
「た、ただ……ミヒャエルが馬鹿な事をするので、止めないと……お兄様のご友人だからというか……と、とにかく!私たちに迷惑がかかる前に、あの愚か者を島に連れ戻そうというだけです!他意などありません!」
グローワース島に集う様々な吸血鬼が引き起こす騒動を描いたシリーズの第四弾。今回は、グローワース島の領主の妹である吸血鬼のフェレットに惚れてる人間のミヒャエルが、フェレットへのプレゼントを買うためにアルバイトをしようと決意して向かった先が、なんと吸血鬼たちの「組織」の幹部の集会所で、というお話。
能天気というか何も考えてないというか。吸血鬼を怖がるどころか、あっさり友達になったりするミヒャエルはとても好感が持てるんだけど、吸血鬼側がいつだって受け入れてくれるとは限らないので、フェレットからしたら彼の行動にはハラハラしっぱなしになりますよねぇ。「べ、別に気にしてなんか」といいつつ、ミヒャエルを心配して、かつてグローワース島に手を出してきた「組織」に乗り込むんですから、うふふとなりますね。
ミヒャエルとフェレットのお話のみならず、吸血鬼が関わっているのでは?と噂が飛び交う「村人消失事件」が「組織」と絡んでくるんですが、唯一の生き残りである少女に向けられる悪意には、うわあと思うものがあります。面と向かって浴びせられない隠れた悪意ほど、心が苦しくなるものは無いんじゃないかしら。
テオの過去話もつらいものがあって、結構ヘビーなエピソードがたくさんあった気がします。
にもかかわらず、暗くならないのは、「組織」に所属する幹部たちの悪ノリっぷりが楽しいからでしょう。吸血鬼の天敵と言われている『食鬼人』を相手にして、大ピンチに……と思ったところからの幹部たちの大活躍っぷりは、いっそ爽快と言うべきかしら。これでもかと見せつけられる個性を楽しませてもらいました。
いやあ、面白かった。
物語が始まったときは、フェレット側にいろいろ思いがありあmしたけど、騒動に巻き込まれていくうちに、ミヒャエルの仲もちょっとですけど仲が深まったみたいで、一安心。じれったい吸血鬼と人間の恋の行方は、今後も楽しみですね。
そして次は、4巻での騒動が起きている間、島の方で起きていた事件のお話になるそうです。小物市長が主役とのことで、こちらのお話も楽しみだ。
ヴぁんぷ! 4 (4) (電撃文庫 な 9-27)
成田 良悟
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