「おまえらにとってはただの資金稼ぎでも、それで人生が無茶苦茶にされる人間がいるんだよ」
凪のきっぱりした言葉に、男は思わず甲高い声を上げてしまった。
「馬鹿な!そんなはずがあるか!どうでもいい一般人のために、わざわざ一人で俺たちを倒しに来るようなヤツなんか、そんな、そんなくだらないヒーローみたいなヤツが、この世にいるものか!」
特別な力などを持っていないにもかかわらず、圧倒的存在感を見せつけてくれていた炎の魔女と呼ばれる正義の味方・霧間凪が、魔女戦争に巻き込まれていくブギー・ポップシリーズ番外編です。
いやあ、格好いいなあ。まさに正義の味方という活躍っぷりや、統和機構の者を相手取っても打ち勝てる洞察力と思い切りの良さには、惚れ惚れするものがありますね。彼女の側にいる人たちが、心酔するのもわかる気がします。
そんな凪の側にいた織機綺が、凪に関する奇妙な予言をする者と出会ってから、だんだんときな臭くなっていくんですが、綺・正樹・健太郎たちのみならず、モンズやラウンダバウトなど「ビートのディシプリン」で活躍していた者たち、さらには、統和機構側の怪物たちなどなど、複数のお話が絡み合いそうで絡んでない、みたいなぎりぎり感が、何を引き起こしてくれるんだろうとワクワクさせてくれます。
個人的に驚いたのは、凪の前に、ブギーポップが現れたことですね。世界の敵に反応する彼女が浮かび上がってきたってことは……と思うと、ゾクっとさせられましたが、魔女という言葉の意味と、もうひとりの魔女が見えてくるにつれて、なるほどと思ってしまう。こんな輩が戦いを始めたら、えらいことになりそうだ。
相手が相手だけに、魔女対決をしたらさすがの凪も……と思っていたら、いやはや、こんな隠し技があったとは。彼女の母親が語っていた「ヴァルプルギス」が、凪にどんな影響をもたらしていくのかわかりませんが、これは、魔女対決のみならず、凪自身の戦いにもなっていくのかもしれませんね。
まだまだ序盤ではありますが、どうなっていくのか楽しみです。
ヴァルプルギスの後悔 Fire1. (1) (電撃文庫 か 7-22)
上遠野 浩平
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