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[うえお久光] シフト 2 ―世界はクリアを待っている―

そして夜。
『ラケル』は――かつて魔王を目指した男は、かつて勇者を目指していた男の前に立った。

眠ることによって、現実世界での日常と、ネットゲームのようなファンタジーな世界を行き来する少年少女の物語の第二弾。今回は、夢の世界の出来事が、現実へと波及し始めてくるお話です。

これは、怖いなあ。1巻でもちらっと話に出てたけど、たとえシフトした世界で強者として名を馳せていても、現実世界に行けば、ただの人だから、適わないとしれば当然そういう動きもあるだろうし、ましてはそれが女性であれば……。考えるだに恐ろしいことですが、まさにそんな目に合いそうだったセラを思うと、ラケルがあれほど追い詰めてしまうのもわかる気がします。
なまじ優しいから、自分で自分を冷血な人だと思い込まないと、思い切った手を打てないことに、心苦しいものを感じます。

そんな感じで、夢の世界のお話から始まったものの、今回は現実世界のほうで結構動きがありましたね。『競馬で必ず勝てる方法』から、シフトするタイミングについてのお話が見えましたが、なるほど、ラケルはそういうことをしていたのか。
護りたい。その思いがどこか異常なまでに感じますが、それだけ今まで失ったものが大きいんだろうなあ。
いまだ明かされてない過去は、大きな傷があるみたいだし(なんせ一番弟子がアレですから)、このあたりは非常に気になるところです。

ラケル=祐樹に対して、何かと絡んでいた日野ですが、ああ、彼のような人は、ほんと得がたいですね。そのまっすぐさは、闇を抱えた祐樹にとって、支えでもあり……まぶしい存在でもあるのかな。あちらの世界で日野が何をやっているのかはわかりませんが、もし、彼が勇者として目の前に現れたら、ラケルはもしかしたらそのために……とか思いつめたりするとやるせなくなってくる。

力の強さとは裏腹に、心の傷から逃げているようにしか見えなかったラケルが、「勝負」を持ちかけたのは、それほど考えての行動ではなかったのかなと思ってましたが、まさか「現実」にまで……とは思わなかった。まだ何か隠してることがあるような気がしますが、これがひとつのきっかけとなって、動き始めるというのであれば、無駄ではなかったんでしょうね。
一歩一歩踏みしめて歩き始めたラケルの姿が、力強く感じました。

いやあ、面白かった。
これがラケルの再出発点なのかなと思うと、熱いものを感じますが、同時に、例の「運命」が動いているような気もして、不安が頭をよぎります。
次は、ラケルの告白を聞いた高嶋空のお話になるようなので、彼女が何者なのかということもさることながら、今回の件を経て、彼女がいったいどう動いていくのか、とても楽しみです。

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