「おい、咲!」
「いいのよ」
「何がいいんだ」
もともと自分がカードゲームに応じてしまったのが原因だとか、そういうことを言うつもりじゃないだろうな。そんな場合じゃないんだぞ。わかってるのか?
だが、咲が考えているのは、そんなことではなかった。そんな後ろ向きなことを考えているのではなかった。
「刻也がわたしを取り戻してくれるんでしょう?」
特殊な力を宿した道具「アンティーク」を巡るお話の第四弾。今回は以下の四編が収録されています。
- 存在が薄れていくアンティークに触れた少女の悲哀を描く「影」
- 非合法カジノで絶対負けない男と刻也が、咲を賭けて戦う「ギャンブル」
- 赤い糸を紡げるアンティークを手にした少年は、幼馴染の恋を成功させようとして……「小指」
- 咲が指輪を?いったい誰から?気になった刻也は、ついアンティークを持ち出して……「秘密」
あー、たまらん!
今まで以上に、刻也と咲の関係が近づいてきてるのに、どちらもはっきり言わなくて、でも、他人を前にしては、ちょっとした公言をしてくれてて、はやく言っちゃえよ!と言いたくなるもどかしさが全開でした。
特にポーカーフェースができてない刻也は、オーナーの都和子さんやクラスメイトにせっつかれたりして、余計意固地になるところが、ニヤニヤです。
そのあたりが、がっつり出てきてくれたのが「ギャンブル」ですね。アンティークを使っているヤツがいるのでは?という情報を入手した都和子が、カジノに潜入して、刻也と咲もついていったら、知らぬ間にカモにされて、あれよあれよという間に、身包みはがれそうになったとき、よりによって咲が狙われたら、そりゃ、刻也としても奮起するしかないでしょう。
相手がアンティーク使いだと知ってから、勝負が絶望的になったとき、最後の最後で強引ながらも逆転劇を演じることができたのは、それだけ咲を思ってるからですよねぇ。あのときのシーンに、うふ、っとなっちゃう。
個人的に一番印象に残ったのは「小指」です。繋がってる赤い糸を切り、別に人に繋げることができる指輪を手にした少年がやったことは、恋多き幼馴染の女の子の恋を助けることで。涙は見たくないという気持ちはわからなくもないけど、彼の抑えてる気持ちがわかるだけにやるせない思いになる。
ひょんなことから、咲とめぐり合って、咲は刻也を、少年は少女を思う気持ちを見つめなおして、ついに……と思ったところからのラストが衝撃的というか、ああ、こういう思いを持つようになるんだなあと思った次第。
そして、このシリーズを読んでいたら、誰もがお待ちかね状態となるであろう咲の内心を全面的に見ることができる「秘密」は最高でした。
赤い糸を紡げる指輪を手に入れた咲が、刻也の指の赤い糸は、自分の指の赤い糸は、どこに繋がってるんだろうと指輪をするかどうか迷ったり、一方の刻也は、咲が指輪を持ってるのを見て、いったい誰からもらったのかと気になってしまって、つい心の声が聞こえるというアンティークを手にしてしまって。
お互いアンティークを隠し持ってることに罪悪感を持ちながら、でも知りたいという衝動を抑え切れなくて、ドギマギするやりとりが楽しかったです。
最後、刻也からしたら、ちょっとした罰とちょっとした天国が待ち受けてて、咲も刻也がヤキモチ焼いてくれたことを嬉しく思って。あー、もう、いいなあと思いながら、にんまりできるラストでした。オススメ!
付喪堂骨董店 4―“不思議”取り扱います (4) (電撃文庫 お 9-7)
御堂 彰彦
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- ■御堂 彰彦×タケシマ サトシ『“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店?』 ★★★☆☆ 不思議な力が宿った器物、アンティーク。今日も贋物†††.






