そう、単純な武力では海星に勝てない。勝てる戦力は今、地球上に存在しない。海星にとって唯一脅威なのは力に頼らない知略のみ。
そしてその知力を持ちえる可能性のある相手とは……
「これで終わりか伊達?」
黒川は強い眼差しをカメラが移す海面に向ける。黒川がもっとも懸念する相手は、いまも深海に閉じ込められている。
「こんなものか峰島由宇?」
深海2222メートルに沈められたフリーダムの機内に閉じ込められた闘真と由宇の前にベルゼブルが現れ、同じく沈められたスフィアラボで、有効な対策を取れない伊達に、黒川の更なる追撃が迫ってきて、というお話。
いやあ、面白かった!
はじめは閉じ込められた男女ってことで、ピンチにもかかわらず、ちょっと甘い空気が流れたりするんですが、そんな余裕がなくなっていく展開が、面白いんだけど、同時にもどかしい。あー、もう早く言っちゃえよ、と何度思ったことか。お互い思いあっているのに……と思ったけど、ふたりとも抑圧された闇を持って生きてきたから、どうにも不安になるんだろうなあ。このあたりの心の動きが、いろいろ切ないものがありました。
闘真たちもさることながら、スフィアラボもすごい追い詰められてて、いったいどうなるのかと思ったら、ここで活躍してくれたか小夜子!彼女を狙う男共はどうでもいいとして、責任感の強い彼女が、自分のできること以上のことをやっていこうとする思いが素晴らしかった。彼女を信じて、計画を動かした伊達も格好いいったらないです。
深海でのフリーダム、スフィアラボ、さらにはLAFI内でもワーストVSサードがあったりして、どれもこれも、由宇やADEM方面がぎりぎりまで追い詰められていたのに、闘真のちょっとした一言をヒントにして、由宇が脱出方法を考えてからの展開は、すごかった。
閉じ込められたいた時間が長かった分、自由に闘う由宇の姿が、とても爽快で、その格好よさに惚れ惚れしちゃうものがありました。
由宇だけでなく伊達もまた動き始めて、「囮」を使ったものの、それはすぐに看破されて……というところからのギリギリの綱渡りでありながら、計算されつくした作戦にしびれまくりました。なんという逆転劇!
いやあ、面白かった。最後に見せた男たちの敬礼には、涙がじわっと浮かんでしかたなかったです。
これでいわゆる「ADEM&海星編」は一区切りのようですが、いやはや、まだまだ主役二人の間には、大きなものが隠されていたようで、素直にくっついてくれないのが憎らしい。いったい由宇は十年前に何をやったのだろう。このあたりは、麻耶も絡んできそうなので、ひょっとしたら、真目家騒動にもつながっていくのかしら?と思ってワクワクです。
続きが楽しみですね。
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