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[沖田雅] オオカミさんと長ブーツを履いたアニキな猫

「…………………………はっ!?」
そこで何かに気がついたらしいりんごさんは、さっと頭取さんを見た。
頭取さんもそのりんごさんの目を見つめ返しアイコンタクトする。
そして頭取さんと目と目で通じ合ったりんごさんは確信する。
これは……………………………………うまくすれば涼子ちゃんで遊べる!!

人への貸しは必ず返してもらうエゲツナイ正義の味方、学生相互扶助協会「御伽銀行」の活躍が描かれるシリーズの第六弾。今回は学内の匿名掲示板でおおかみさんを賛美する書き込みをした人を探すお話と、鬼ヶ島の不良たちが御伽銀行に悪巧みを仕掛けてくるお話と、亮士が恋に悩んでたら、人助けが趣味の先輩に捕まって、というお話が収録されています。

ああ、もうおおかみさんが素敵にツンデレだなあ。最近チラチラ視線を感じるようになったのは、どうやら掲示板におおかみさんを賛美する書き込みがあったってことで、さすがに褒めてもらってるのを怒るわけにもいかず、さりとて、これ以上視線を感じるのも嬉しくないってことで、ひとまず書き込んだヤツを探そうという話になったわけですが、なかなかうまくいかないわ、自分のことを好きだと言ってるわりにライバルが登場しても、動揺しないどころか捜索に消極的な亮士にイラつくわで、どんどん不機嫌になっていくおおかみさんが可愛いったらないです。

もちろん、誰が書いたかなんてことがわからないのは、おおかみさんだけなので、おおかみさんの不機嫌さと亮士の言うに言えない状況がたまらなく楽しい。りんごさんがふたりの仲を発展させようとしつつ、発展させすぎないようにしている理由がよくわかりました。いや、意地が悪すぎですけどね。ああ楽しい。

で、その後のお話は、鬼ヶ島の不良たちが御伽銀行に悪巧みを仕掛けてきたお話を、アリス先輩側からと、おおかみさん……というか亮士くん側から描かれてるんですが、まずはアリス先輩。普段は、クールなキャリアウーマンっぷりを見せてくれてたのに、ひとりっきりになると、歳相応な姿を見せてくれるギャップがいい!頭取を「りっくん」とか呼んじゃうあたりで転げまわった。

アリス先輩はなんであんなダメ男を支えているんだろうという御伽銀行のメンバー全員が思ってるみたいですが、幼いころの思い出から、頭取に対する信頼感みたいなのが見えてきて、それはいまだに揺るぎないものなんだなあと感じられるところが良かったです。頭取も、普段ふざけてるけど、やるときはやってくれて。お互いが支えあう関係が素敵でした。

一方、同じ事件を分断された亮士たち側から見るお話もあるんですが、こちらは人助けが趣味な猫宮なる人が、恋に悩む亮士くんを鍛えていって、という始まりなんですが(強引だ)、実は猫宮さんは、おおかみさんと浅からぬ縁があって……というあたりは、なかなかシリアスでした。そりゃ、後悔しまくるよなあ。
おそらく猫宮さんがおおかみさんを気にするのは、恋とは違う感情かもしれないけれど、それでもおおかみさんを助けてあげたいと思う気持ちはとても大きくて、なるほど亮士くんを鍛えたのも、その一環なんだなと思った次第。

猫宮の背にいつまでも重石のように残っていた後悔が、最後のおおかみさんの言葉で、少し軽くなっていくところが、ほんと良かったです。あー、格好いいぜ、猫宮先輩!

いやあ、面白かった。
最後の最後で、おおかみさんがまたかわいいことしてくれるんだな。亮士くんにお礼をしたいけど、でも、あんまりなことはできないおおかみさん。思わずりんごさんに相談しちゃうところが墓穴というかアレですけど、からかいつつ、素敵なアイデアを見せてくれるりんごさんにGJ!

オオカミさんと長ブーツを履いたアニキな猫 (電撃文庫 お 8-12) - 沖田 雅

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