「本気?とんでもない、まだ緩いものさ。闇の属性は、それ以外のほぼすべての属性に対して優位にある。君たちは今回、三つの間違いを犯したんだよ」
アルカインは爪を立てた。
「まずは一つめ。酒場にいた時点で、イリアード姫をおさえられなかったこと。次に二つめ。つまらない罠かきっかけとなって、セロ達と姫君が合流してしまったこと。そして致命的な三つ目は、この僕に〝喧嘩を売った〟ことだ。後悔してもらうよ」
「還流の輪環」という幻の魔導具を巡る争いに巻き込まれた少年セロが、黒猫の魔導師・アルカインと共に旅をするシリーズの第三弾。今回は、魔族の手から逃げ延びた姫君イリアードを保護するために、アルカインたちが潜伏先へと向かったら、すでに魔族の手が伸びてきて、というお話。
うわあ……と思ってしまうのは、フィノがあまりにもやってくれるからです。アルカインのみならず、共に旅する人たちみんなが引くんですから、どれだけセロっ子なんだよと言いたくなりますが、セロの寝顔を見つめるイラストとか見てると、やばすぎるんじゃないかとも思ったりする。並々ならぬ歪みっぷりは、楽しくもあり、先を考えると不安でもある。
で、魔族に襲われて失踪した姫・イリアードを求めて地価迷宮へと降りていくわけですが、あっさりと分断されてしまうあたり、あれっと思ったりするけれど、迷うというよりは導かれていくようなものを感じるだけに、フィノにしろセロにしろ、まだまだ明かされてないことがあるってことなんだろうなあ。
おかげでイリアードと出会えたわけですが、ああ、いいなあ。とても魅力的だなあ。ヒロインかと思ってたフィノが、とてもヤンデルせいか、姫将軍と呼ばれるほどの強さと優しさを兼ね備えた人という正統派なヒロインがいてくれると、とても心安らぎます。
それにしても、セロがちょっと構ったからって、姫様を相手に睨むのはどうかと思うよ、フィノ。
イリアードはイリアードで、幼い頃の話がとてもよかった。クローガーやその娘ヴィオレとの交流は微笑ましいものがあるだけに、今、敵となってしまったヴィオレを思うと、やるせない気持ちになって、それがセロの心を動かしたんだろうなあ。
アルカインたちの足手まといになってるというのも、きっかけのひとつなんでしょうけど、セロの決意は、アルカインからしたら悔やまれることなのかもしれません。
さてさて、これでセロの安寧の地はなくなってしまいそうですが、それを含めての決意なんでしょう。彼がこれからどういう風に伸びていくのは大いに楽しみなところです。
一方、魔族たち側の動きもいろいろ見えてて、こちらもまた恐ろしいぐらい狂気に蝕まれてる女の子がいますね。うわあ、こんなのに好かれちゃってるっぽいアルカインはいったいどうなるんだろうと思ってしまいました。
続きが気になってしかたない。
輪環の魔導師3 竜骨の迷宮と黒狼の姫
渡瀬 草一郎
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