「現在のところ、〝黄昏の子供たち〟を、直接的に認識できる人間はただの一人もいない」
志村さんはゆっくりと息を吐き出すようにして言った。
「たった一人……あなたを除いてね」
カメラを通さなければ、認識することが「黄昏の子供たち」。その一人である少女イエスタデーに、流されるままに生きてきた少年・春道が、出会って……という切なくも、温かいボーイ・ミーツ・ガールです。
人から認識されない少女ですが、少女自身もカメラを通さねば、他人を認識できないんですから、どれほどの孤独なのか想像もできません。認識できる人が目の前に現れたときは、ほんと驚いただろうなあ。
特異な子供ということで、イエスタデーは研究所に囲われていたんですが、ちょっとしたことから、春道とふたりで数日を過ごすことになり、町へ出て、ちょっと遊んで、夕飯の買い物をして。
ただそれだけのことが、少女にとってどれほど大きな出来事だったのかが見えてくると、思わず涙ぐんでしまいますが、はじめは緊張しまくってたイエスタデーが、だんだんと笑顔を見せてくれるようになっていくところがとても良かった。
このまま話が続いてくれれば、どれだけ嬉しかったか。
イエスタデーの、いや、イエスタデーだけでなく、「黄昏の子供たち」を襲う現実が見えてくると、今までただのドジだと思っていたことが、不安要素にしか見えてこなくなって。それでも頑なに笑みを絶やさなかった少女は、単に殻の破り方を知らなかっただけで。
頑なな少女の心を開かせた春道の一言と、すべてを吐き出した少女の思いが心に響きました。
一言といえば、母親の一言は、逆の意味で心にきましたね。なぜ、そこまで?という疑問は正直ありましたが、その一言が二人の世界を動かしたとも言えるような気がします。後に母がそのことを知ったら、どう思うのだろうと、ふと考えてしまいました。
このまま切ないお話で終わるのか、それとも……。
どんな運命が二人を待ち受けているのかはわかりませんが、ハッピーエンドとならんことを、と願いたくなります。
続刊がとても楽しみ。
銀色ふわり (電撃文庫 あ 13-23)
有沢 まみず
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