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[杉井光] 神様のメモ帳 3

彩夏が、戻ってきた。
いろんなものを失くしたまま、
それでも、戻ってきたんだ。

引きこもり探偵のアリスとラーメン屋に集うニートたち、そして探偵の助手になった高校生ナルミが、街に広がる闇の謎を解き明かしていく青春ミステリー物語の第三弾。
かつてラーメン屋でバイトをしていた少女・彩夏が、記憶喪失となって戻ってきた矢先に、彩夏とナルミの二人しかいない園芸部の廃部が宣言されて……ということで、何とか廃部を免れようと模索していくうちに、園芸部周辺で起きた五年前の事件を追っていくお話です。

いやあ、切なくて、でも温かい気持ちになれるお話でしたねぇ。
一度は失くしたかと思った人が目の前にいる。そのことは嬉しいけど、でも、一緒にすごした時間のことを彼女は覚えていないというのは、何とも辛いものがありますね。しかも、ラーメン屋で、かつての仲間と過ごした時の出来事が、彼女に無理をさせているのかもしれないという思いが浮かんでしまったら……、彩夏のもうひとつの居場所である園芸部を失くすわけにはいかないよなあ。
いつになく積極的に動くナルミに、複雑な思いを感じました。

ところが、園芸部設立時に、生徒会で奇妙な動きがあったらしいことを知って、その話をアリスと追いかけていったら、当時亡くなった生徒がいて、その生徒をあのテツ先輩がいじめていた、なんて噂があって。さらにはその件について、テツ先輩が一切口を開かず、アリスに協力もしないと言い出すから、興味津々。

はじめは、触れられたくない過去を探るのはと、テツ先輩に遠慮してたナルミでしたが、追えば追うほど、亡くなった羽矢野とテツ先輩の間の出来事がキーとなってきて、どう打開していくのかと思ったら……、ああ、不器用だなあ。ナルミも。それを受けるテツも。
でも、この青臭いやり取りが、魅力的なんですよね。バカだと言いながら、しっかりと場を作り上げる四代目も素敵でした。
まあ、待たされる人たちからしたら、たまったもんじゃないでしょうけど。ナルミを心配しながらも、素直になれないアリスが、いろいろ世話を焼くところとか、指摘されたときにキレる様子が、いつになくアリスが可愛いかった。最後に、ナルミのちょっとした嘘に騙されてあげるアリスにも、うふふと思ってしまうものがあります

いやあ、面白かった!
抱えるものが多すぎて、ギクシャクしていた彩夏との関係でしたが、事件を終えて、新たな関係を築いていこうとするところが良かったです。「お帰り」とナルミが心から言えるようになったところ、それに彩夏が応えてくれたところに、涙が出そうになりました。ああ、いいなあ、この関係。
願わくば、彼らを取り巻くこの関係が、いつまでも続いてくれたらと、そう思います。
オススメ!

神様のメモ帳 3 (3)  - 杉井 光

神様のメモ帳 3 (3)
杉井 光

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