「……ね、真一。真一はどう思う?」
「うん、悩んでるイタチさんも綺麗だけど、笑ってる顔のほうが可愛くて好きだな」
反射的に即答すれば、イタチさんの顔がぽふっと赤く染まり、しんみりムードがあっという間に雲散霧消した。え、あれ?
「今のを照れずに言い切っちゃうかー」
「本人に自覚がないのが嫌らしいっつーかなんつーか」
きれいな人を描くことが大好きな美術部員・白塚真一と、美少女妖怪のイタチさん、美術部員なのに妖怪の研究が趣味の経島先輩など、美術部員の面々が、学校内に現れる妖怪を退治するシリーズの第二弾。収録されているのは、以下の五編+エピローグ的捕話です。
- 委員長が犬神使いになっちゃって、イタチさんを退治しようとして……「委員長の秘密 ― 或いは、犬神の事」
- みんなで秋祭にいくことになったけど、まさかのトラブルが発生し……「女心と秋の空 ― 或いは、おとそりの事」
- プールに出た妖怪退治のために、皆で泳ごうとしたら……「薄れゆく意識の中に ― 或いは、鎌鼬の事」
- 尻子玉ならぬ尻を触るだけの河童が校内を駆け巡って……「冬きたりなば ― 或いは、河童の事」
- 副会長に生贄の白羽の矢があたり、皆で守ろうとしたら……「決戦は大晦日 ― 或いは、猿神のこと」
- 年越しで集まったみんながぬくぬくすごす捕話「おわりなきよのめでたさを ― 或いは、管狐の事」
前作同様、放課後の部活動的なワイワイさで、妖怪退治をやってくれてますが、毎回毎回、天然発言やら行動で、イタチさんを照れさせる真一にやられました。いやー、あれを無自覚でやられたら、イタチさんもたまんないよなあ。
でも、そんなくすぐったさが好きだったりする。
今回、新たに登場したのは、犬神使いの僕っ子委員長・滝沢赫音ですが、妖怪はすべて退治するという信念をもっていたおかげで、イタチさんだけじゃなく、真一までも巻き込んで……たんだけど、いい妖怪もいるんだってことがわかっていって、仲間となっていくところは、オーソドックスだけど良かったです。
そのときのやり取りのおかげで、真一を少なからず思うようになったのに、肝心の真一はイタチさんしか目に入ってないから、非常にかわいそうなんだよなあ。イタチさんだけじゃなくて、赫音にも天然発言するから、尚更です。いろいろあるかもしれないけど、がんばれ、赫音と言いたい。あ、でも僕はイタチさん派ですから。
個人的に一番良かったのは、秋祭話かな。神社を苦手だというイタチさんを楽しいからと連れていったら……な出来事があるわけですが、あそこで引き下がらずに、イタチさんを喜ばせようとする真一が、やっぱすげえよ。こういうまっすぐな行動ができるのは、好きな人が相手だからですよね。
「ありがとう」と呟くイタチさんの思いに、ほろりときました。
いやあ、面白かった。
イタチさんの活躍だけで、妖怪退治をするのではなく、真一の頑張りもあるからこそというコンビがいいですね。サポートしてるんだか邪魔してるんだかわからないところがあるけれど、常にユーモアを忘れずに、みんなをひっぱり続ける経島先輩も素敵でした。
うん、これは次も楽しみだ。
ほうかご百物語 (2)
峰守 ひろかず
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