それぞれが用意してきた怖い話を一人ずつ披露する ― 怪奇小説サイトのオフ会に初めて参加した私は、自己紹介もないまま、会が始まることに戸惑ったが、「話をすることが、私たちにとって何よりの自己紹介でしょう?」と言い含められて……。
怪奇小説サイトのオフ会に集まった四人の男女が、ひとりひとり怪奇話をしていくということで、以下の四編の怪奇話が収録されています。
- 気になる男の人の家を訪ねたら、そこには、生きているとは思えない女が横たわっていて……「クックロビンの埋葬」
- 都市伝説と思っていた「首刈り」に遭遇した融は、その日から鏡に顔が映らなくなり……「ヘッドハンティング」
- 「背筋を正して生きろ」酒乱騒ぎを起こしていた男の最後の言葉を、身をもって経験する羽目に……「子供たちの町」
- 「七不思議を知った姉は、行方不明になった」―三つの不思議に遭遇してしまった茜は、クラスメイトの言葉を訊いて、不安を覚えたが……「七不思議の向こうで」
いやあ、怖い怖い。
得体の知れないものってのは、そんなに怖くないんですが、どこにでもあるような日常的なお話が、いつの間にか違う方向へいってるんですから怖いです。角川ホラー文庫で出されても遜色ないんじゃないかしら。
一編目の「クックロビンの埋葬」で言ったら、死体のようにしか見えない、でも腐敗しない女と共に暮らす男に惚れて、半同棲のような暮らしをしていくうちに、だんだんと死体の女に憎しみを覚えていくところとか、すっごい自然なんですよ。いつの間に、そんな思いになったんだろうと気づいたときには、もう後戻りできないほど話が進んでて、ゾクゾクさせられるものがあります。
この人の心理描写ってほんとうまいなあ。
「ヘッドハンティング」では、顔が無くなって、でも周囲の人はまるでそのことに気づかないという状況で、憔悴していく少年の過程とかに心痛めてたら、ラストにまたがっつり落としてくれるし、「子供たちの町」でも、周囲の人に狂人と思われていく男の様子が、すごかったですね。
なんていうか、こう、正常と異常の差って何だろうとか考えてしまうと、怖くなってきます。
最後の「七不思議の向こうで」も、救いのないお話で、ただ、興味本位で七不思議を追っていただけなのに……ああ痛い。ああ辛い。
全員の話が終わった後に、「after talk」なシーンがあるんですが、そんな怪奇なオフ会に参加してしまった女の子の行く末がどうなるかは、ま、読んでからのお楽しみってことで。うふふ。
やっぱり、この作者のお話、好きだなあ。
Xトーク
来楽 零
アスキー・メディアワークス(文庫)
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