あるいはこのなかにも、いるのかもしれない。
真名を秘め、ペルソナで素顔を隠して向こうの世界を生きているやつが。
無効で泣き、笑い、怒り、そして平然と人を誘拐したりしていながら、なに食わぬ顔して登校しているやつが、このなかにいるのかもしれない。自分やセラと同じように『シフト』している人間が。
そうやって夢のなか、また一日を生き延びて。
いったい、あの世界はなんなのか ――
眠りにつくと、ネットゲームのような、ファンタジーな世界へと「シフト」され、戦士、魔法使いなどなど、様々な職を持って生活をする。現実世界での日常と、ファンタジー世界での冒険を繰り広げる少年少女の物語です。
単行本のときに読んだんですが、、ほとんど内容を覚えてなかったので再読。以前読んだときは、「面白いといえば面白いのですが、ハードカバーで買うほどではないかな」なんて感想をあげてるんですが、あのころの僕は何を思ってたんだろう。すっごい面白いじゃないですか!
たぶん、現実の世界とファンタジーな世界を行き来するという設定だけは覚えていたのが良かったのかも。そのことを知らなかったら、中盤ぐらいまで入り込めなかったかもしれません。というか単行本のときそうだったことを思い出した。
何といっても良かったのは、ラストのエピソードです。あれでもう涙がじわっと出て、ああ!
少女の思いもさることながら、少女を思ったラケルの思いにも心打たれるものがあって。
いつか、いつかきっととそう願いたくなるものがありました。
でも、不安のほうが大きいんだよなあ。
半人半獣のラケルと、町の用心棒を務めている戦士の女の子サラが見せてくれる揺れる思いとかは、ほんといいんだけど、ラケルの過去があまりにも酷で、いや、ラケルだけじゃないんだけど、時間の流れが違うあちらの世界ですごした長き時間のつらさは、きっと言葉では表せないものがあるんじゃないかしら。
本当は強いのに、そのことを隠してセラと一緒にいるところに、後悔と彼の弱さが見えてきます。
お人好しだからなおさらラケルもきついんでしょうね。現実世界で、同じように「シフト」しているクラスメイトに助けを求められたとき、口では文句を言いながら、相手に気づかれぬよう、そっと助けを出すところとか、優しさが伝わってくるんですよね。
お互いの素性を決して明かさないようにしているのは、怪物系という自分の素性を相手が知ったら、という優しさ故の言動なんだろうなあ。そう思うと、切なくもなるんですが。
忌み嫌われる怪物系で、でも側にいてくれる人がいて。
それだけで、平和に過ごせる時間があるだけで満足していたのに、突如として襲い掛かるのが、ルールなしのファンタジーの世界に持ち込まれた「国政」だってのが、やるせない。
どうやら主導しているリカルトなる人は、ラケルと並々ならぬ因縁があるようで、このあたりは、今後明かされていくんでしょうね。
今までの仲間を再び集結して、ということになるのかもしれませんが、「獅子身中の虫」がどうなっていくのか、とても気になります。続きが楽しみだなあ。
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うえお 久光
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Comment:1
- ジャラル 2008-07-06 (日) 15:28
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片目の女性の表紙を見て、確かこれはリザードマンが主役の話だったのでは?と思いましたが、間もなく発売の二巻ではラケルが表紙みたいで、第一巻をまず買って貰おうという営業政策みたいです(笑)。
最後でリザードマンではなく、○○○○○○の正体を現したラケルとセラやリカルトとの結末の書かれる?次巻が楽しみですね。




