「たまには宝の地図に書かれた宝を追いかけるのもいいかもしれないな。いいぜ。あんたらの目的はデバウ商会と懇意のジーン商会からすんなりと情報を引き出すことだろう?ジーン商会に紹介状を書いてやる。そのあとのことは……」
片目を閉じて小首をかしげたのは、エーブなりに自信のある仕草だったのかもしれない。
「あんたの才覚しだいだ」
麦に宿り豊作を司る賢狼の少女・ホロと商人ロレンスの旅路を描く物語の第八弾。今回は、少年コルを旅の共に加えて、協会勢力が権威誇示に利用しようとしているらしい「狼の足の骨」の噂を追っていくお話です。
いやあ、面白かった!!今まで以上にホロの魅力がたっぷりでしたね。
久しぶりの狼姿に浮かれすぎて、筋肉痛になるなんて、らしくないような、らしいような気がしますが、ついにエーブに追いついたあとのホロの剣幕を思うと、ああ、ロレンスを傷つけられたことが、彼女にとって大きなものだったんだなあと思った次第。
もちろん、自分に降りかかった火の粉ってのもあるだろうけれど、相手を思っての行動だってことが感じられるから、にやりとしちゃいますね。筋肉痛で寝込むホロに、ため息をつきながら、感謝するロレンスの姿も、またにやり。
いいシーンになると、コルが現れて……というお約束も結構あったけれど、ホロとロレンスの思わせぶりなやり取りに、時に照れたり、時にあわわあわわと焦ったりする素直な反応を見せてくれるコルのおかげで、二人の仲がより深く見えてくるように思えました。
ああ、いいなあ、この三人の雰囲気。
そんな和やかな空気を引き連れて、ロレンスがエーブと対峙したわけですが、この女性との会話も魅力あるよなあ。もうひとりの狼だと感じたロレンスの気持ちがわかります。一度負けたということもあるんだろうけれど、ロレンスに有利な状況でも、何か隠し持ってるような雰囲気で、なかなか底を見せてくれないから、惹きつけられます。
今回は噂を元に尋ねたことと、このケベールという町の北と南の内情が絡んだおかげで、前よりも、ちらっと本音らしきものを見せてくれて、素敵だなあと思いました。
そんなエーブとロレンスの間のやり取りを感じて、さりげなく本音と罠を仕掛けるホロの嫉妬も素敵です。
とまあ、始終和やかに話が進みつつも、噂の手がかりを得るためのカードが足りず、さてどうしようかと考え込んでいるうちに、こっち側から話がやってくるとは思わなかった。
ケベールという町に対するしがらみが無いが故に、いわば中立な立場にいたはずのロレンスが、逆に悪い意味で引っ張りだこになってしまって、どの道を選んでもリスクが高すぎるうえに、何かを選ばねばならないという退路を立たれた状態に置かれてしまったから、いやはや、商人という道は油断がなりません。
ここからどういう道を選ぶのかわかりませんが、ロレンス、君は一人じゃないんだということを忘れないでよ!
続きがほんと楽しみです。
狼と香辛料 8 (8)
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