「このウチデノコヅチは、感情の大きさを変えるイルフィニなんだ。ま、あくまで限定的なものだけどな」
「なーるほどねえ」
「教えろよ」
「昨夜春菜ちゃんは、そこのアフロをゴキブリと間違えて悲鳴をあげたでしょ?それで一番に助けに来たのはあんた。つまり、その時春菜ちゃんが抱いていた感情は『神一郎を頼る』って感情だったわけ。それで、春菜ちゃんはその小槌を振った」
「……で、その感情が大きくなっちまった、と」
「そーゆーこと」
鞘から抜けないクサナギとデッキブラシを武器に、神一郎と美琴が、ハテシナという異界の悪人たちから、藤堂家の双子の姉弟を守るお話の第二弾。今回は、藤堂家の姉・春菜が、ウチデノコヅチの力により神一郎に甘えることになってしまい、彼女を戻すために、何者かに狙われているというアフロな小人を守っていたら……というお話。
ああ、春菜が可愛い。神一郎にからかわれたら、真っ赤になりながら怒る姿もいいんだけど、頼り切って、「神一郎さん」と声をかけてくる春菜もいいです。小槌のせいだとわかっていながらも、平常心を保つのに苦労する神一郎を見ていると、美琴じゃなくてもニヤニヤしちゃいますね。
で、春菜を元に戻すために、何者かに狙われているというアフロなダンサー(でも小人)のホウジを守ることになったんですが、彼を狙うものが、同郷たるハテナシだから困ったことになるわけで。
しかも相手は十二単を着た少女アオイと(表紙イラストの子!)、軽薄な男ケンジのコンビ。男はどうでもいいとして、アオイがなかなかいい具合にツンしてて、うふとか思ってたら、まさか、そんな武器だとは。イラストに描かれてるのに、脳がフィルタしてたみたいで、まるで見えてませんでした。でも、よくよく考えると、十二単でショットガンとか、素敵な組み合わせですよねと思ってしまうあたり、我ながらおかしいと思う今日この頃。
それはともかく、なぜホウジは同じ勢力から狙われることになったのかという謎から、アオイたちの置かれた状況がだんだんと見えてくるんですが、彼女たちの事情もまた見えてくるから、物事が難しくなってくる。
神一郎と美琴だったら、このぐらいの相手だったら、それほど苦労しないですむのに、どうしても、必要以上に力を出せず……哀しいお話になってしまったのは、やるせないものがありました。ただ、好きな人のためにと、それだけを願っていただけなのに。
待ち受けた悲劇には、哀しいものがありましたが、最後の戦いを終えた後に見せてくれる雰囲気は、このお話の一番の魅力だと思いました。この町に来てよかったと思える町の描写に、この家に来てよかったと思える家族な描写に、温かい気持ちでいっぱいです。
いやあ、面白かった!
ラストの傷に不安が残るんだけど、さあ、どうなるんだろ?続きが楽しみです。
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