Home > ライトノベル > 龍盤七朝 DRAGONBUSTER(01) / 秋山瑞人

龍盤七朝 DRAGONBUSTER(01) / 秋山瑞人

「群狗よ、妾は決めたぞ!」
固い決意に握り締められた両の拳、興奮のあまり逆立つ後ろ髪、身の内から湧き上がる感情を抑えきれずにくるくるとに回転する。両の瞳を爛々と輝かせて見つめる胡同の果ては、今もあの男がいる河畔へと続いているはずだ。
「妾も剣をやるっ!」

皇女とはいえ十八番目の末娘であるが故に、お役目も無いまま、退屈な日々を過ごしていた月華(ベルカ)が、お忍びで町を出歩いていたら、「言愚」と蔑称される山岳民族の涼狐(ジャンゴ)の剣舞に見惚れて……という中華風ファンタジー物語です。

いやあ、面白い!
初っ端に、群狗(グング)と呼ばれる老人が、かつて「龍」に出会ったと過去を語るシーンがあるんですが、これがすごいんです。敵陣の真っ只中に現れた女性、10人、また10人と斬りすすむ姿が、淡々と語られながら、圧倒的強さを感じられて、ああ、この剣舞は、なるほど龍を思わせると、ゾクゾクさせられます。

その老人が、今は月華の面倒を見る立場にいるんですが、この月華が、世間知らずなくせに好奇心旺盛だから、なかなかに大変なんですけど、愛らしくもあるんですよねぇ。身分を気にしない率直な態度は、普段はともかくお忍びで町に出たときとか、非常に危なっかしいんだけど、頼りになる町のお姉さん、珠会(シユア)がいてくれるおかげで、なんとかなってるようで。
商人の娘だという嘘に気づきながら、珠会が月華の世話を焼いているのは、きっと彼女の真っ直ぐさに好感を持ってるからなんでしょうね。ふたりで軒先とかで西瓜食べてるシーンが、とても微笑ましいものがありました。

そんなお忍びの日に、涼狐の剣舞と出会って……剣を習い始めるという発想に進む月華は、なんともらしいものがありましたが、剣で戦うために涼狐を追いかけていく姿は、まるで恋をした乙女のようで、なんとも楽しいものがありました。身分的に底辺を行く涼狐の戸惑いもまた面白い。
保身から月華を突き放して、でも……と悩んでいるときに、同じく悩んでいた月華の背中を押した珠会にグッジョブです。

いやあ、面白かった。まだまだ序盤という感じのお話なんですけど、ボーイ・ミーツ・ガールなお話の間に、少しずつ見えてくる「龍」の気配にゾクりとさせられます。いったい彼や彼女には、どんなモノが眠っているんだろう。まだ実践で使われていない二人の剣は、どれほどのモノを持っているのかとか、いろいろ想像が止まりません。
これからさらに面白くなるであろうことを予感させるお話だっただけに、続きがとてもとても楽しみです。
オススメ!

DRAGONBUSTER 1 龍盤七朝 - 秋山 瑞人

DRAGONBUSTER 1 龍盤七朝
秋山 瑞人

アスキー・メディアワークス(文庫)
Amazon | bk1 | 楽天


関連エントリー
[秋山瑞人] [電撃文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > 龍盤七朝 DRAGONBUSTER(01) / 秋山瑞人

Trackback:3

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2415
Listed below are links to weblogs that reference
龍盤七朝 DRAGONBUSTER(01) / 秋山瑞人 from booklines.net
DRAGONBUSTER1 秋山瑞人 電撃文庫 from ねれの巣 2008-05-12 (月) 23:40
秋山さん久々の新刊であり、新シリーズ!!えっとぉ・・・・・・ミナミノミナミノの続
DRAGONBUSTER(1) from Alles ist im Wandel 2008-05-15 (木) 23:12
DRAGONBUSTER 1 (1) (電撃文庫 あ 8-13 龍盤七朝)秋山 瑞人 アスキー・メディアワークス 2008-05-10売り上げランキング...
[感想][★★★☆☆][秋山端人]「龍盤七朝 DRAGONBUSTER 01」 from ただ、それじゃ終われないでしょ! 2008-05-16 (金) 00:20
「お主はすごいのだ!世の男どもをすべて合わせてもお主には及ばん!妾は来る日も来る日もお主のことを考えて剣を振っているというのに、お主にそんな平気な顔をさ...

Comment:1

ジャラル 2008-05-14 (水) 11:33

秋山先生の新作は最近日本でも流行中の武侠アクション、社会の最下層にいるが謎の老婆より剣技を教わった涼狐、お姫様だが天賦の才能を持つ月華が出会って・・・今回は「出会い」編ですが、次回はいよいよアクションシーンとかあるのでしょうね。
私は時々話の合い間に出てくる芝居の話が良いですね。ボンボンに必殺技伝授しようとする元悪党の拳法家の話と人間の女の子に惚れたネズミ妖怪の話、正直こちらの話を煮詰めたほうが・・・と思ってしまいます(笑)。

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > 龍盤七朝 DRAGONBUSTER(01) / 秋山瑞人

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top