「……何か言いたいことあるなら言いなさいよ」
その場に立ち尽くして固まる俺に、女の子がむっつり顔のまま挑むように言ってきた。それは、紛れもなく俺がついさっきまでドア越に話をしていた声。
ということはやっぱり……
「……彩姉ぇ?」
家族全員が正義の味方である星弓家のお話の第四弾。今回は、長女・彩美が、何者かの魔法によって、十歳ぐらいの女の子になっちゃって……というお話なんですが、もう、最高傑作級!と叫びたくなるぐらい、すっごい良かったです。
クールビューティというよりは、酔っ払いな印象が強かった彩姉ですが、十歳の姿は反則すぎです。お母さんや次女の七美が、ムッハーと可愛がる気持ちが良くわかる。お姉ちゃんらしい威厳を保とうとする姿が、かえって可愛さを増すんだから、ああ、もう、どうしてくれよう。このあたり、ほんと楽しかった。
そんな可愛さあふれる彩姉だけど、実際には不器用な人なんだなってことがわかる過去のエピソードが、とても素敵でした。幼い弟の軋人のために、大の男に立ち向かう姿は、ほんとヒーローそのものだよ。彩美を早く元の姿に戻さなくてはと、姉のために軋人がいろいろ動くのも、わかる気がしますね。
十歳どころかさらに若返って、それに伴い、精神的にも幼くなっていって、記憶にまで混乱が見えてきたところで、いよいよまずいと、家族全員が動き出すわけですが、ここで彩美の幼いころの物語が絡んでくるとは思わなかった。ああ、そうか、不器用だったというエピソードが、こう繋がってくるのかと思ったら、もう止まらなかった。
そんな中、一番やられたエピソードは、軋人と彩美が敵に捕まったときのシーンです。
「だって、あたしおねえちゃんだもん」
涙がじんわり止まらなかった。
いやあ、面白かった!このシリーズは、毎回家族愛の素晴らしさを見せてくれるけど、今回の姉弟の関係は、間違いなくシリーズ最高傑作だと思います。超オススメ!
次は、どんな関係を見せてくれるんだろうと、すっごい楽しみ。
まあ、個人的には、軋人と柚島香奈子の関係も、もうちょっと……と思うところもあるんですが、すこぅしぐらい進展してるのかなあ。彩姉に「ママ!」と呼ばれた柚島が、思わず軋人のことを「パパ」と言ってしまったときの気まずい雰囲気とか、すっごいニヤニヤしちゃったのは、僕だけじゃないはず。
次作ではぜひ、このふたりの進展もお願いしたいところですね。
ところで、軋人、正義の味方なわりには、だんだん弱くなってない……?
世界平和は一家団欒のあとに 4 (4)
橋本 和也
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