「それより……話に聞いていた以上ですね。ご子息のアポストリ嫌いは」
「例の事件からずっとあの調子だ。私のことも随分と憎んでいるらしい。だが、今更引き返すわけにも行かない」
「それでは、例の件は予定通りに?」
「計画は実行する。この国と、そして君たちのために」
身体能力と科学技術に優れた異性人・アポストリと共存すべく、琵琶湖周辺の居留区では、人間とアポストリが『共棲』するシステムが動いていた。過去の出来事からアポストリを憎む南方学だが、政治家の父を持つ以上勝手なことは許されず、アポストリの評議長の姪・葉桜と同居することになったが……というお話。
これは面白かった!
家族への惨劇からアポストリ全体を憎んでいた学が、葉桜とぶつかり合うことで、だんだんと打ち解けていくところがいいんだなあ。真っ直ぐで使命に燃えて、でも人のことを思いやれる葉桜の行動を見て、苦しむ彼女の姿を見たときには手を差し伸べるようになった学の姿に、良かったと思えるものがありました。どこか頑固な二人が、ケンカしながら仲良くなっていくボーイ・ミーツ・ガールな展開ににっこり。
個人的には、クラスメイトの岡町灯日も大好きだったので、彼女と葉桜の間で揺れたりするのかと思ってたら……、そうくるか。
アポストリを良く思わない市民団体による反対運動によって、居留区の中が揺れ動くんですが、そこに学、葉桜、灯日の三人が絡んでくるからやるせなくなる。予想はしてたけど、それでも一抹の希望を持っていたのに……
悲しき結末を迎えはしましたが、それでも最後に微笑むことができて良かったと思いたいです。
いやあ面白かった。これは素敵なボーイ・ミーツ・ガールですね。少年少女たちの成長も見えて面白かったです。
一冊で終わるのかと思いきや続きも出ているようなので、とても楽しみ。
第14回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>受賞作。
葉桜が来た夏 (電撃文庫 な 12-1)
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