「まさか」夕凪が言った。「真里亜が?」
「はい」
淡々と答えるるちや。
「阿部真里亜は現在、〝時間退行〟のクロノグラフ、リグレストを取り付けられた状態にあります。このままでは、阿部真里亜の肉体はいずれ消滅するでしょう」
時を操るアイテム「クロノグラフ」を地上へと散在した罰として、天使から人間にされた真里亜が、高校生の慧たちと「クロノグラフ」を集めていくお話の第三弾。今回は「時間退行」のクロノグラフ・リグレストを身に着けさせられた真里亜が、誘拐されてしまい、時間内に取り戻さなければ彼女が消滅してしまう!というタイムリミットサスペンスです。
これは面白かった!
48時間というタイムリミットの中で、誘拐犯と取引をして、かつリグレストの持ち主を探して、鍵を取り戻さねばならないってことで、焦りつつ、どう打開していくかを考えていく展開の盛り上がること盛り上がること。
さらには、慧と真里亜の間にすれ違いが生まれてて、このことが、慧の初動と頭脳を鈍らせてくれたおかげで、いい具合に、謎に手が届かないもどかしさを感じさせてくれました。
いつかは別れる。それは人と天使という間でなくても同じことなんですが、思い当たらないあたりが、若さというやつでしょうか。大切だからこそうまく距離が取れなくなってしまったってことなんでしょうけれど、ふぐ……と涙ぐむ真里亜が可哀想なだけに、少しは考えてやれよ、慧!とツッコミたくなります。そういう意味では、武臣の一撃は良かったなあ。
離れて、さらには本当に会えなくなるかもしれないというところから、慧と真里亜が、それぞれ自分の本当の思いに気づいていく展開が、とても良かったです。
誘拐犯との対決もさることながら、誰がリグレストを真里亜につけたかという謎もあって、まあ、こちらは比較的容易に想像がつきますが、どんな風に切り抜けていくのかというあたりの道具の使い方は、うまいなあと思いました。将棋じゃないですが、手にした駒を如何にうまく使っていくかという面白さも、ミステリクロノの魅力ですよね。
さて、ひとまずの騒動は終了。二人の間のすれ違いも、修復したみたいだし、一件落着……なんだけど、天使の三田るちやの動向に、今まではなんとなくだったものが、今回の件ではっきりと見えてきたので、このあたりがどうなっていくのかってことと、じーちゃんも何か知ってそうなあたりが、気になりますね。
ミステリクロノ 3 (3)
久住 四季
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