最近はどういうわけか、会話するのもぎこちない。きっと東雲はスランプで苦しんでるんだろうと思うと、俺もあれこれ言葉を選ばなくてはならないし、そうやって選んだ言葉にも、東雲は歯切れの悪い反応をする事が多かった。
不安だった。
高校生・三波栄太とクラスメイトであり作家の東雲侑子。恋愛小説を書くために、付き合うフリをするところから発展した恋を描くシリーズの第二弾。二人の関係が公になり、これまでと違った学校生活が見えてくる中、東雲がスランプになって会えない日々が続き……というお話。
このもどかしさがやばい。心当たりがありすぎる。メールが来ないこと、電話での何気ないひと言が気になってしまうこと。相手の気持ちが分からないから聞いてみたいけれど、返される言葉が怖くて聞けないとか、グサグサきますね。自分なりに相手を思った言葉が上滑りをして、会話がぎこちなくなっていくところとか、もう見てられない。
何が悪いというわけでもないのに、気がつけば距離が出来てしまうすれ違い模様が、痛くてもどかしくてつらい。でもやっぱり読んでしまうんだなあ、これが。
すれ違いはこの二人だけではなく、兄とその恋人・有美さんもでした。誤解だというのに怖くて聞けない有美さんと、言葉にしなくてもと考えるお兄さんの間では、どうしたって足りないものが出るから……なんだけど、言葉よりも行動で示したお兄さんは不器用だなあと思いつつ、ニヤニヤしちゃいました。この人はデレたらすごそうだ。
折りしも、スランプによって遅々として筆が進まない彼女に遠慮していた栄太が、何かと声をかけてくるようになった快活な演劇部の女の子・喜多川といたら、兄と同じような誤解を受けることになったわけですが、考えすぎて自分の思いにすら疑問を抱くようになってしまう彼の迷いと、それを吹き飛ばせた東雲の想いをこめた小説に、ああってなる。
憎らしいといわれて、鈍感だといわれて、それでも一緒にいたいという思いが伝わってきて、本当に良かった。いいですね、恋って!
不器用でもどかしい思いを感じるのが好きな人にオススメのシリーズです。
東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる (ファミ通文庫)
森橋ビンゴ
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